異常な暑さが、何故なでしこに味方することに!?

　後半もなでしこがボールを支配し、オーストラリアが堪えしのぶ展開が続く。

　しかし、延長戦がチラつき出した87分に左CKのこぼれ球を途中出場の岩渕真奈が押し込み、勝負あり。1－0とはいえ、終わってみれば試合の展開、内容を考えてもなでしこが妥当な勝利を挙げる結果になっていた。

　この日の会場となったエドモントンは、ここ数日間で気温が激しく上昇。同地域・同日の史上最高気温になるとの予報通り、14時のキックオフの際には取材エリアでの手元の温度計でも30度を示しており、強い日差しの差し込むピッチでは激しい消耗戦になることが予想された。

　結果論だが、この酷暑の環境はなでしこに味方してくれたと言える。左SBとしてオランダ戦に続きフル出場した鮫島彩はその点について、こう振り返る。

「（結果的に）暑さがあって良かったかなと思います。オーストラリアは立ち上がりから、もっと積極的にプレスに来るかなと思ったけど、暑さのせいでそれができなかったのかなと。前半からかなりバテているのがわかりましたし、気持ちの面で負ける気がしませんでした。一方で、ウチの前線の選手は暑いなかでも、かなり前からプレスにいってくれてボランチのルミ（宇津木瑠美）と（阪口）夢穂も、中盤からガツガツいってくれた。そこが、このゲームの一番良かったところだと思います。（中3日と中5日という）条件の違いはありましたが、この3日間最善を尽くしましたし、（酷暑のなかでも）気持ちの面で頑張れた。それこそ、なでしこらしさが出たと思います」

点をなかなか取れなくても、まったく焦りはなかった。

　なでしことしては、オーストラリアをずっと押し込みながらも点が取れない時間が続いたことに焦りが出てもおかしくない展開に思えた。ただ、ピッチ上ではそんな嫌な空気はなかったと鮫島はいう。

「ハーフタイムにも自分たちのサッカーができているので、焦らないでやろうと確認していました。もちろん延長も頭に入れてはいましたが、気持ちの面では前の選手が絶対決めてくれるという自信がありました」

【次ページ】　「逆境になればなるほど強いのがなでしこの良さ」