オフサイド・トリップBACK NUMBER
FIFA騒動の行方を左右する3大要素。
会長選、開催地、未公開の報告書。
posted2015/06/25 10:40
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph by
AFLO
混迷を極めるFIFAのスキャンダルは、これからどこに向かっていくのだろうか。
それを予測する上で、差し当たってのポイントは3つある。
1つ目は、今年の12月から来年3月までの間に行なうとされた、会長選挙のやり直しだ。再選挙は本当に実施されるのか否か、実施された場合に誰が当選するのかが焦点になる。
最近スイスのメディアでは、ブラッターが辞意を覆して権力の座に止まり続けるのではないかというシナリオさえ流れ始めている。どんでん返しが起きる可能性はさすがに低いと思うが、本当に大変なのは次の会長選びだ。
誰が出馬するかについては様々な噂が流れているし、ジーコやマラドーナ、フィーゴといった有名どころの名前も例によって挙がっている。
しかし一般的な人気や知名度の高さは、政治力と必ずしも比例しない。それどころか足枷になる可能性さえある。FIFAの会長は、複雑に入り組んだ利害関係を巧みに調整しつつ、柵を断ち切ってサッカー界全体のために大鉈を振るっていかなければならない。
そして絶大な力を握るようになっても、権力の甘い汁を一切吸わず清廉潔白と不偏不党を貫いていく態度も求められる。このような条件をすべてクリアーするのは、W杯のトロフィーを手中に収めるよりはるかに難しい。
ロシア、カタールでW杯は開催されるのか。
2つ目のポイントは、2018年や2022年の大会招致活動において不正が行なわれていたことが判明した場合、再投票に踏み切るかどうかだ。
ちなみに2018年大会に関しては、オランダと共同開催する形で立候補していたベルギーが、開催地の再選定を求めている。だが残された時間を考えた場合、ロシアでの開催を白紙に戻せる可能性は低いのではないかという見方もある。しかもカタールのケースと違い、ロシアは捜査の過程で入手できている情報量も少ないとされる。
だが2022年大会となると、話は違ってくる。タイムスケジュール的にぎりぎりとはいえ、2018年大会よりも多少は時間的な余裕が出てくるし、カタールでの開催には当初から疑問の声が多かった。