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オシムが語る、バルサの強さの秘密。
「まるでブブカのように……」
posted2015/06/29 16:00
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「イビチャ・オシムの『オシム問答』」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
▼Lesson.106 目次
【1】〈今週の「オシム問答」〉
「少なくともあと数年は、バルセロナの優位は続くだろう」
【2】〈オシムとの対話〉
「バルセロナはどこかひとつだけ新しく変え、対応を難しくさせる」
【3】 〈フィリップ・ベルジュロー、フランスの黄金世代を語る〉
「ベンゼマ、ナスリ、メネズ……若年層時代の育成プロセス」
【4】 〈オシムの教え〉
「なでしこはアグレッシブさと知性、そして勇気を見せてくれた」
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【2】〈オシムとの対話〉
「バルセロナはどこかひとつだけ新しく変え、対応を難しくさせる」
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――バルセロナ対ユベントスのチャンピオンズリーグ決勝は見ましたか?
オシム:ああ、しかしユベントスはチームをちょっと先まで持って行き過ぎた。精神的にも肉体的にも選手たちが疲れているのを認めるのは難しい。そこに目をつぶって選手に多くを求めすぎる。彼らはすでにすべての能力と経験の限りを出しているのにだ。
バルセロナはまるでセルゲイ・ブブカが棒高跳びで世界記録を更新するようだった。それぞれの大会の度に、バーの高さをほんの数センチだけ上げる。それで世界記録更新だ。バルセロナも同じだ。どこかひとつだけ新しく変える。他は同じだが、それだけですでに対応が難しくなる。
個人的にユベントスの経験は、バルセロナに十分対抗できると考えていたがそうはならなかった。スタートは悪くなかったが、その後は相手の強さに圧倒された。ちょっと違いがあった。
――たしかに同点にしたまでは、ユーベも何度かチャンスを作っていましたが。
オシム:そこまでは悪くはなかった。むしろバルサの方がもたついたが、そこから先はワールドクラスだった。前線の3人が優れているのは間違いないが、それ以上に彼らはコレクティブな力を見せた。
スタメンとサブの全員が同じレベルにあることを彼らは示した。同じ価値、同じ才能を持った選手たちだ。優れた育成システムから生まれた選手たちだ。後から出てくる若手が優れているから多くを変える必要がない。チームのプレースタイルがすでに沁みついている。とても大きなアドバンテージだ。
時間を経ても縮まることがなく、彼らの支配はこれからも続くだろう。少なくとも前線の3人がチームに居続ける限りはそうだ。彼らが怪我することなくプレーし続ける限り容易には止められず、どこも対抗するのは難しい。