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「今シーズンは、マジ残りたいから」
最終節に残留かかる清武弘嗣の叫び。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2015/05/23 10:00
最近ではブンデスリーガでのPKの名手ベスト10にも選ばれた清武。チームメイトからも地元ファンからも高い評価を受けるなかで、奮闘し続けている。
攻撃陣の充実によって、スローインの選手が変わる?
しかし、前半戦17試合を終えたときに8位につけていたハノーファーが残留争いに巻き込まれるのは予想しづらかった。第5節が終わった時点では3位につけていたうえに、何より彼らは点の取れるチームだった。特に2014年の最後の5試合は1試合平均ゴールが2点を越え、1トップのホセルと、2列目のブリアン、シュティンドル、清武が近い距離でポジションも入れ替わりながら攻撃を仕掛け、相手を翻弄していた。
こんな話がある。
4バックで戦うチームがサイドの高い位置でスローインのチャンスを得たら、普通であればサイドバックがスローインをする。しかし、この時期は攻撃陣の破壊力がすさまじく、守備にはやや課題があったため敵陣でのスローインをサイドのMFが担当していたのだ。点が取れるのだから、サイドバックが無理してあがることはない。当時のコルクト監督もそう考えていた証だろう。
しかし12月16日の第16節でアウクスブルクを2-0で下してから、ハノーファーは勝てなくなった。
16試合勝ちなしという史上2番目の記録。
第18節から再開したシーズン後半戦の始めは、多くのチャンスを作っていたものの決定力不足でなかなかゴールが決められずにいた。そうこうしているうちに、今度は守備陣が耐えきれなくなり、勝ち星から見放されるようになった。何しろ、第16節のアウクスブルク戦のあと、16試合も勝ち星から見放されていたのだ。16試合勝ちなしという記録は、昨シーズンの前半戦のニュルンベルクが作った17試合勝ちなしという記録についで、2番目に悪い成績だった。
先制しても追加点が遠い。勝ち星から見放されて、自信を失っていたのだろう、リードを奪っても落ち着いた試合運びができない。もともと守備に課題を抱えていたこともあり、最後まで耐えきれずに失点してしまう。そんな戦いが続いていた。その過程でコルクト監督の解任がクラブの役員会で議論され、一度は続投で話がまとまった。しかし、そのあとも相変わらず勝利は遠かった。
そしてリーグ戦を5試合残し、4月20日にコルクト監督は解任された。代わりに、かつてボルシアMGなどで指揮をとったフロンツェック監督が5試合だけ指揮をとるという契約で、ハノーファーにやってきた。