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長友佑都、インテルとの蜜月の終焉?
契約延長は見えず、補強の影響は。
posted2015/05/28 10:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
やはり、グラウンドの上を走ってこその長友佑都だ。ベンチは似合わない。
カンピオナートの終わりも近い37節ジェノア戦で、インテルのDF長友が3カ月半ぶりにスタメンへ名を連ねた。右太ももに重度の肉離れを起こした2月上旬のパレルモ戦以来の先発復帰だった。
29節パルマ戦からベンチで6試合を過ごした後、5月10日の35節ラツィオ戦後半にようやく実戦の芝を踏んだ。翌週のユベントス戦でも、1-1の状況で長友を送り出した監督マンチーニの意図は明確だった。
“サイドから崩せ”
4-2-3-1の2列目左サイドハーフとしてユーベ戦に投入された長友は、高い位置に張ってMFコバチッチからのパスを受ける形で相手DFの裏を取りながら、何度か敵陣を抉った。闘争心も衰えていなかった。
GKハンダノビッチのセーブミスが響いてチームは1-2で敗れたが、大御所OBベルゴミが「チームにエネルギーをもたらした」と高評価を与えたように、わずか24分間ながら長友が加わったインテルの左サイドは一時活性化した。
無失点を志向する長友だが、クラブは……。
だが、4-3-1-2の左サイドバックとして先発したジェノア戦での長友は、攻撃にも守備にも中途半端だった。昨年12月21日のラツィオ戦以来、約半年ぶりのフル出場は果たしたものの、インテル入団以来指摘されてきたクロスの精度の低さは今季も改善されないままだった。
「本分はDFなんでね。まずは無失点で試合を終えるのが一番大事」
長友はいつもそうくり返していたはずなのに、主将ラノッキアのつまらない凡ミスなどからインテル守備陣はその日も3失点し、2-3で連敗した。
エースFWイカルディが20ゴールを挙げても、守備陣がその倍以上も失点する有様では、指揮官も兜を脱ぐしかない。