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「今シーズンは、マジ残りたいから」
最終節に残留かかる清武弘嗣の叫び。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2015/05/23 10:00
最近ではブンデスリーガでのPKの名手ベスト10にも選ばれた清武。チームメイトからも地元ファンからも高い評価を受けるなかで、奮闘し続けている。
サイドでプレーしていた清武がトップ下を希望した理由。
今シーズンの清武は、キャプテンで10番を背負うシュティンドルが怪我で戦列を離れていた時期はトップ下での出場が多かったが、シュティンドルが復帰してからはサイドのMFにまわっていた、中央でシュティンドルとインサイドハーフとして並ぶこともあったが、その際もより攻撃的な役割がシュティンドル、より守備的な役割が清武という分担があった。
彼はなぜ、トップ下でプレーしたいと話したのか。
「やっぱり、カウンターのことを考えたらトップ下の方がゴールには近い。そして、ゴールに近い位置にいたいと思ったんです」
もちろんゴールを決めたいのには理由がある。
「ここまでの3年で、1シーズンで決めたのは4点が最高。今季もここまで4点だし、少なくとももう1点は決めておきたいという気持ちがあります。それに今のチームとしては、1点では足りないので。だからチームとして2点、3点ととれないと」
17試合ぶりの白星は、清武起点のゴールで勝利。
果たして、清武はホッフェンハイム戦からトップ下に入り、シュティンドルが右サイドに回ることになった。
第31節、清武がフロンツェックの下で初めてトップ下に入ったヴォルフスブルク戦ではリーグ2位の相手に2点のリードを許すも、後半に2点返して引き分け。翌週のブレーメン戦では、先制するも後半33分に追いつかれて1-1の引き分けに終わった。
じりじりと順位が下がっていったが、それでも第33節のアウクスブルク戦では清武、ブリアン、シュティンドルとパスがつながり、シュティンドルのゴールで先制を果たした。一度は追いつかれるも後半9分のシュティンドルのゴールで勝ち越す。その後、酒井が2度目の警告を受けて退場するも、1点のリードを守りきって17試合ぶりの勝利を飾って、最終節に自力で残留を決めるチャンスを得た。
17試合ぶりの白星をつかんだことで、清武も声を弾ませた。
「追加点をとれたことが大きいし、(酒井)宏樹が退場しても最後に守りきれたというのも大きかった。今までだったら、2点目を決められてしまってもおかしくはなかったんですよ」
追加点を奪えない、1点を守りきれない。そんな2つの課題を克服できたことで、チームにはポジティブなムードが漂いつつある。