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「今シーズンは、マジ残りたいから」
最終節に残留かかる清武弘嗣の叫び。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2015/05/23 10:00
最近ではブンデスリーガでのPKの名手ベスト10にも選ばれた清武。チームメイトからも地元ファンからも高い評価を受けるなかで、奮闘し続けている。
清武「監督のこと、メッチャ好きだったんですよ」
清武はコルクト前監督とのやりとりを振り返りつつ、責任を口にした。
「ショックでした。ドイツに来てから、あそこまで気を使ってくれる監督は初めてだったんですよ。コルクトさんはトルコ人で、外国人の気持ちがわかるのかなぁ。日本人のことについての話も含めて、たくさんコミュニケーションをとってくれて。パスをつなごうとするサッカーを目指していたし、オレのこともすごく必要としていたし、ありがたかったというか……。オレは監督のこと、メッチャ好きだったんですよ。だから解任されて、正直ショックでしたよ。その責任を感じました。結果を残せなかったし」
新監督が就任直後に清武とかわした会話。
残り5試合の時点でようやく監督交代に踏み切ったのは、あまりに遅すぎはしないか。たった、5試合で何が出来るのか。そんな声もあがっているが、酒井はクラブの狙いについてこんな風に説明している。
「就任した時点で残り5試合でしたけど、そこで一から何かを作り直そうとは思ってないでしょうし、それは僕らもわかっています。新監督はすごくフレンドリーな人ですし、ネガティブな雰囲気が充満していたみんなの気持ちをスッキリさせるように取り組んでくれているのかなと思いますね。だから今の監督を信じて、自分たちにやれることをやっていきたいです」
そんなフロンツェック監督の初陣となった第30節のホッフェンハイム戦では、先制され一度は追いつくも、最終的には1-2で敗れてしまった。試合の数日前に体調不良のために検査も受けていた清武は、ベンチには入ったものの試合に出場するチャンスはなかった。酒井は累積警告により、出場停止でスタンドから試合を見守った。
翌週、清武はフロンツェック監督に呼ばれた。積極的に選手たちとコミュニケーションをとろうとする新指揮官の行動は早かった。監督はこう口を開いた。
「お前はどこのポジションをやりたいんだ?」
清武が答える。
「僕はトップ下でやりたいです」