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「有望な選手」は、まだ力不足の意。
武藤嘉紀に伝えたい“急がば回れ”。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/04/20 10:30

「有望な選手」は、まだ力不足の意。武藤嘉紀に伝えたい“急がば回れ”。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

昨年9月、アギーレ監督に初招集されて以来、コンスタントに代表に呼ばれている武藤。ハリルジャパンで、まずは代表出場率75%を目指して欲しい。

モウリーニョもビジネスとの関連を否定せず。

 ビジネスとの関連性については、サッカーの現場を預かるモウリーニョも会見の席で否定はしなかった。

「それが今日のサッカー界の在り方だ。その世界で監督を務める者に、収益面を完全に切り離してチーム作りを考えることは許されない。チェルシーがそうであるように、ファイナンシャル・フェア・プレー(FFP)規則などを遵守する意識が強いクラブであれば尚更、収益への意識が大切になる」

 但し、スポンサーの存在を考えたチーム作りと、スポンサーに強いられたチーム作りは別物だ。モウリーニョも次のように続けている。

「だが同時に、フットボールクラブはフットボールクラブであり続ける。トップレベルのクラブに入れるのは非常に優れた選手のみ。あるいは、少なくとも非常に優れた将来性の持ち主でなければならない。我々にしても、チェルシーの一員として可能性がない選手に手を出すことはあり得ない」

付け加えた「有望な選手」という言葉の真意。

 では、モウリーニョの目に映る武藤は優れた選手なのか、有望な選手なのか?

 この問いに、直接的な回答は得られなかった。指揮官は「他クラブの選手について語るのは好ましくない」と始め、「サッカーはビジネスであり、1つの産業分野。しかしフットボールクラブである以上、目指すは試合での勝利とタイトルの獲得だ」と続け、「優れた選手か有望な選手にしか興味はない」と締め括っている。

 間接的なノーコメントと受け取れなくもないが、再び「有望な選手」と最後に付け加えていることからも、実は含みのある発言を好むモウリーニョ的な返答ではないかと理解できる。

 武藤への興味は、無視はできないビジネス面と、肝心のサッカー面での「潜在能力」を買ってのこと。現時点での武藤を「戦力」として捉えているのなら、「優れた選手にしか興味はない」とだけ言えばよかったのだから。

【次ページ】 武藤の将来にとってチェルシー移籍は「No」。

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