サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
先発一新はハリルJだけじゃない!
中1日の五輪予選にU-22の策は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2015/04/01 16:30
3試合に唯一先発した遠藤航。湘南ベルマーレで2011年からコンスタントに出場してきた実戦経験は、U-22代表でも頭一つ抜けているといえる。
連戦で疲れがあっても、強豪国は体力的に落ちない。
もっとも、4年前のロンドン五輪アジア最終予選では、ホームで行なわれたマレーシア戦が2-0だった。さらに遡って北京五輪の最終予選でも、ホームのベトナム戦で1-0と辛勝している。「東南アジア勢=格下」といったイメージは強いが、守備的な相手に苦しむのは今回が初めてではない。
そういったことを理解したうえで、手倉森監督は結果を正面から受け止める。
「連戦で疲れがあったが、我々だけじゃなく相手も体力的に落ちてくれた。でも、強豪国は落ちない。そういう意味ではマレーシアとの3戦目で、ゴール前を固められたとしてもやはり(追加点を取って)仕留めないと。そうじゃないと、強豪国と肩を並べられない」
指揮官の要求はチーム全体だけでなく、個々の選手にも及ぶ。
「チームとして組織的に戦えるようになり、ゲームコントロールの力も、バランス感覚も高まってきた。だからといって満足するのではなく、さらに先の部分を考えてほしい。FWならシュートの正確性とか、ターンから早く打つとか。MFならスルーパスを通せるとか。マレーシア戦でも裏へのボールが引っかかっていたけど、確実に通せるようになっていかないと。
中村俊輔でも中村憲剛でも、決定的だという場面では決定的なパスを通す。疲れがあるからミスが許されるというものではないと、選手たちには要求していきたい」
選手のローテーションは、さながら“走る実験室”。
3月のミャンマー戦からほぼ3週間にわたって活動してきたチームは、31日のマレーシア戦を最後に解散する。次に集合する7月までに、個々がどれだけレベルアップをはかれるか──韓国、オーストラリア、イラク、イラン、サウジアラビア、UAEらのライバルが顔を揃える最終予選への準備は、すでに始まっている。
手倉森監督は表情を引き締め、語尾に力を込めながら語った。
「競争はずっとさせなきゃいけないですし、コンディションのいい選手が目の前の試合に出ていくという腹づもりでいてくれないと、最終予選も本大会もチームがまわっていかない。ここからはさらに力が高まった選手同士のメンバー交代を、使い分けをしていきたい。全員で戦うんだって言っているけれど、ちゃんと一人ひとりが伸びていけよと、選手には言っていく。向上心のある選手ばかりだから、みんなでさらに良くなっていくと思います」
“走る実験室”とでも言うべき選手のローテーションは、より高いレベルでの競争として今後も続いていく。