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ドバイの新ダートコースで日本馬苦杯。
ホッコータルマエを襲った思わぬ陥穽。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/03/30 11:30
いつも通りの積極的なレース運びを見せたものの5着に終わり悔しさを見せるホッコータルマエと幸英明。日本のダート王をしてもドバイの壁は高かった。
ホッコータルマエが伸びを欠いた、意外な理由。
「道中手応えはよかったが、並走するクルマやスピーカーの音を怖がっていたし、物見もしていた。環境に慣れていたら、もう少し差を詰められたと思う」と話した幸も、直線に向くまでは、「ひょっとしたら」と思っていたという。
昨年につづき、2度目のドバイだったこの馬にも、まだ「慣れ」が必要だったというのが、海外遠征の難しいところだ。それでも、序盤から主導権を握り、直線半ばまで見せ場をつくったのだから、日本のダート王の「らしさ」を発揮することはできたと言えよう。
2分03秒24の勝ちタイムでこのレースを制したのは、日本でもおなじみのW.ビュイックが騎乗する地元UAEのプリンスビショップ(せん8歳、父ドバウィ、サイード・ビン・スルール厩舎)だった。同馬は、2011年、日本のヴィクトワールピサが勝ったレースを含め、4度目のドバイワールドカップ参戦にして、悲願のタイトルを勝ち取った。
エピファネイアはもちろん力負けではなく、単にダート適性がなかった、ということだろう。
ワンアンドオンリーが見せたダービー馬の意地。
ドバイワールドカップデー諸競走に関しては、メインのドバイワールドカップをはじめ、ドバイシーマクラシック、ゴドルフィンマイル、ドバイデューティフリー(今年からドバイターフ)を日本馬が勝っているのだから、負けたからといって「世界の壁」がどうのと悲観する必要はない。
ホッコータルマエの走りが、日本のダートで強い馬なら、今年から敷設されたメイダンのダートでも充分勝負になることを証明してくれた。
先に発表された、日本馬が海外レースに出走する際の日本国内での馬券発売が、来年のこのレースに間に合うかどうかはわからないが、これからも日本のファンがたっぷり楽しめるイベントでありつづけることは間違いない。
ドバイワールドカップに先立って行なわれたドバイシーマクラシック(メイダン芝2410m、GI、9頭立て)に出走したワンアンドオンリーは、直線で一度沈みかけながら再度脚を使って3着と、ダービー馬の意地を見せた。ハープスターは伸び切れず8着に終わった。
UAEダービー(メイダンダート1900m、3歳GII、10頭立て)に出走した日本馬の成績は、ゴールデンバローズが3着、タップザットが5着、ディアドムスが8着だった。ケンタッキーダービーにもつながるこの重要なレースで、日本勢3頭が先行してレースをつくり、うち1頭が過去最高タイの着順を確保したことは評価できる。しかし、8馬身差で圧勝したムブタヒージとは、正直、力の差を感じさせられた。