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指揮官の大事な資質は「朝令暮改」!?
小久保監督の中田4番固定を考える。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/03/13 10:50
2014年は打点王を獲得し、長打力に勝負強さも加わってきた中田翔。侍ジャパンでもその力を発揮することができるか。
台湾遠征でも、日米野球でも結果が出ていない中田。
小久保監督のデビュー戦となった一昨年の台湾遠征では、3試合で4番を打って13打数2安打の本塁打0。昨年の日米野球では第3戦で2ランを放ったものの、6試合で4番を務めて24打数4安打で、長打は2本に終わっている。しかも走者を置いた場面で9回打席に立って、安打はわずか2本(1四球)という寂しい内容なのだ。
この結果を見れば、打てていない、期待に応えきれていないというのが「4番・中田」の実情といえるだろう。
もちろん小久保監督の意図するものは、ここが終着点ではない。最終的な目標は2017年に予定される第4回ワールド・ベースボール・クラシックで、中田が4番の責を果たせる打者になること。そのための指揮官の我慢であり、期待でもあるわけだ。
とはいえ、その4番育成にもタイムリミットがあるはずだ。もし、この状態が続いていけば、当然方針の転換は必要になる。待ったなしの状況で慌てて方針を変えるのではなく、そのときのための危機管理も必要になってくる。その一つのきっかけが11月に行なわれる国際大会の「プレミア12」になるのではないだろうか。
筒香嘉智を4番でテストする、というオプションもある。
この大会は決して最終目標ではないが、侍ジャパンにとっては一つの節目の大会になる。そこでも中田に結果が出なければ、例えばこの欧州との2戦で5番を任されたDeNA・筒香嘉智外野手を4番でテストするというオプションもあるはずだ。
筒香は今回の欧州戦でも8回無死一、二塁からライナーで三塁線を破る適時二塁打を放ち、第2戦でも中田が三振で倒れた6回1死一塁から左前安打で2点目のお膳立てをした。昨年ぐらいから重心を残した後ろ足を軸に回れるようになって、打撃が大きく変わってきている。ポイントが近くなり、動くボールへの対処がよりできるようになったのも、国際試合向きであり、これからの成長次第では中田を脅かす存在となる可能性を秘めている。
目標は、あくまで日本代表が勝つことである。そのための朝令暮改は決して悪ではない。そのことを小久保監督は、心に期すべきである。
「4番とは、あいつが打てなかったらしょうがない、とチームメイトもファンも納得する存在。そのためには打つ、打たないだけではなく、日頃からの振る舞いとかそういう部分も必要になってくる。彼(中田)にもそういうことを意識して日本ハムでこれから1年、戦っていって欲しい」
総括会見で指揮官はこう語った。