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指揮官の大事な資質は「朝令暮改」!?
小久保監督の中田4番固定を考える。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/03/13 10:50
2014年は打点王を獲得し、長打力に勝負強さも加わってきた中田翔。侍ジャパンでもその力を発揮することができるか。
欧州代表との試合で7打数1安打の中田翔。
3月10、11日に行なわれた欧州代表との強化試合。初戦は序盤に奪われたリードを8回の連打で何とかひっくり返して4-3と辛勝した。しかし第2戦は先発のオリックス・松葉貴大投手が3回までに5失点して、そのまま追いつけずに6-2の完敗。格下と言われた欧州代表との対戦成績は1勝1敗に終わった。
確かに、投打にわたり欧州代表の想像以上のレベルの高さもあった。足元を見れば開幕を2週間後に控えた時期で、主力投手の参加が難しかったという日本側の事情もある。
ただ、打線についてはある程度主力を揃えながら、思うような結果を残せなかった。特にクローズアップされるのが、2戦で7打数1安打1四球と結果を残せなかった4番の日本ハム・中田翔内野手の存在感となる。
第1戦では走者を置いた4度の場面で左飛、二邪飛、三ゴロ併殺打、四球。第2戦では2度の走者を置いた場面で三飛と空振り三振に倒れた。第1戦の第4打席では左翼ポールをかすめる大ファウルの直後に四球を選び、これが結果的には逆転劇を演出することになったし、第2戦の8回の第4打席でも先頭打者で左前安打を放っている。
そういう意味ではまったくゼロだったわけではないのだが、やはり「あそこでもし4番に1本出ていれば……」という印象は拭えない。
そういう場面で1本打ってこその4番であり、そこで1本打つのが日本代表の4番の存在感だからである。
小久保監督は就任から中田の4番を固定しているが。
この中田の「4番」は、侍ジャパンの小久保裕紀監督が就任から掲げてきた方針だ。
確かに今の日本球界を見回したときに、長打力という点で中田が4番の最有力候補なのは確かだ。それだけの才能があるからこそ、小久保監督も中田に期待を寄せて「ケガがない限り中田4番は不動」と断言する。
ただ、である。
そうして就任以来中田を4番に起用してきているが、今のところ結果が出ていないのも現実なのだ。