野球クロスロードBACK NUMBER
オープン戦初登板のロッテ・田中英祐。
「脱・京大」のために必要なものは?
posted2015/03/12 11:50
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
NIKKAN SPORTS
京都大出身の実力やいかに。
ロッテにドラフト2位で入団した「話題の男」。田中英祐が、3月11日の中日戦でオープン戦初登板を果たした。
2月22日の広島との練習試合で2回を無失点、3奪三振と好投した以来となるマウンド。26日の登板が雨で流れ、3月頭には卒業論文の発表で3日ほど離脱したとはいえ、チームのローテーション6枠の最後の1枠を争う身としては登板間隔が空きすぎている。この日にしても当初は先発予定だったが、前日の試合が雨で流れたことにより涌井秀章がスライド。急遽、2番手の登板になるなど厳しい条件が並んだ。
本拠地のマウンドも初である。QVCマリンフィールドは、強風で新参者を苦しめることでも有名なスタジアムだ。
この日の風速は8m。なかなかの強さと言えるだろう。そしてその風は、気まぐれに四方八方へ吹き荒れる。
田中の本拠地初登板は、不安定さを露呈するものに。
「すごい強い風で、自分に向かってくる印象でした。変化球の曲がりが大きくなりますし、ボールが抜けると大きく抜けてしまったり。キャッチャーに乗って行きにくいボールもあったんで。故に、いい体重移動をどうできるか、と考えながら投げましたけど……」
歯切れよく話してはいても、田中の表情は曇っていた。
自分のピッチングができなかった。そう言い切れるわけではないが、満足のいく投球ができたかといえばそうではなかった。
涌井の後を受けて6回からマウンドに上がり、先頭の9番・井領雅貴を145kmのストレートでレフトフライに打ち取ると、続く1番の藤井淳志は得意のスライダーで空振り三振に仕留めた。上々の立ち上がりかと思えば、2番の亀澤恭平にストレートの四球。この回は4人で抑えたが内容には不満が残った。
7回は不安定さが露骨に現れた。
先頭の4番・福田永将から3連打を浴び、満塁から押し出しの四球、犠牲フライで2点を献上。9番の井領を再びスライダーで空振り三振に打ち取ったが、続く藤井の左中間への強い打球は、センター・荻野貴司のダイビングキャッチに助けられた。