フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
日本勢、男子金銅、女子銅の世界Jr.。
次世代フィギュア界が見えてきた!
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byDave Carmichael/AFLO
posted2015/03/10 12:00
世界ジュニアの男子シングル表彰台。左からボーヤン・ジン(中国)、宇野昌磨、山本草太。今後、この3人が世界の頂点で競い合う光景を、何度見ることになるのか……。
早熟だった織田信成、羽生結弦の存在。
一方、高橋の3年後に世界ジュニアチャンピオンとなった織田信成は、その翌シーズンのシニアデビューでいきなりNHK杯に優勝し、GPファイナル進出を果たしている。
また羽生結弦のように、ジュニアチャンピオンになった翌シーズン、シニアデビューシーズンの四大陸選手権で2位、さらにその翌シーズンの2012年には初挑戦した世界選手権で3位になった選手もいる。
シニアの壁をすんなり越える早熟な選手もいるし、時間をかけて再び一から積み上げていく選手もいる。どちらのタイプの選手がより優れている、というのは一概には言えないようである。
消えていった世界ジュニアのチャンピオンたち。
その一方で、シニアになって芽が出ないまま消えていった選手も数知れない。
デリック・デルモア、アレクサンドラ・シュービン、クリスチーナ・オブラソワ、アン・パトリス・マクドノーらの名前を耳にしたことがあるだろうか。
よほどの熱心なスケートファンでもない限り、彼らのことを記憶している人々はいないだろう。いずれも過去に、ジュニア世界チャンピオンのタイトルを手にした選手たちである。だが怪我などそれぞれの事情で、シニアではついぞ大成することなく、選手生活を終えていった。
プルシェンコや羽生のように、舞台度胸、本番強さというものはシニアデビューをしたとき、かけがえのない武器になる。だが中にはノーミスの演技をしても、シニアの大会ではスコアが伸びなくなってしまったという選手も珍しくはないのだ。
またその逆に、伊藤みどり、荒川静香、エヴァン・ライサチェック、ステファン・ランビエルやパトリック・チャンなど歴史に残る名選手たちでも、ジュニア時代は世界タイトルをついぞ手にしなかったという者も少なくない。