フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
日本勢、男子金銅、女子銅の世界Jr.。
次世代フィギュア界が見えてきた!
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byDave Carmichael/AFLO
posted2015/03/10 12:00
世界ジュニアの男子シングル表彰台。左からボーヤン・ジン(中国)、宇野昌磨、山本草太。今後、この3人が世界の頂点で競い合う光景を、何度見ることになるのか……。
ロシア勢に挑んだ樋口新葉が銅メダル。
女子では予想されたように、ジュニアGPファイナルと同じトップ3人が表彰台に立った。タイトルを手にしたのは、昨年3位だった15歳のエフゲニア・メドベデワである。SPでは68.48でジュニア女子として最高スコアを出し、本人が12月のバルセロナジュニアGPファイナルで出した記録を更新した。
2位は昨シーズンもこの大会で銀メダルを手にしたセラフィマ・サハノヴィッチだった。2月に15歳になったばかりながら、大人っぽい表現力があり末恐ろしいほどの才能を感じさせる。
こうしたロシア女子に混ざり、しっかりとした滑りを見せて3位に入賞したのは1月に14歳になった新星、樋口新葉だった。12月のジュニアGPファイナルでは13歳で3位入賞してメディアから大きな注目を浴び、全日本選手権でも3位と健闘した。
驚くほどリンクを広く使うスケーティング技術、ためらいを感じさせないスピードのあるジャンプの踏み切り、エッジの正確な5種類の3回転ジャンプなど、小手先ではなくスケールの大きさを感じさせる滑りを見せる。プレッシャーを受けることなく、このまま素直に成長していって欲しい。
ジュニアからシニアへの移行プロセスについて。
こうした先行き楽しみなジュニアたちが揃った中で、いったい何人が本格的にシニアデビューをしたときに、トップで戦っていけるだろう。
一般的には、世界ジュニアのトップの顔ぶれは数年後のシニアのトップの顔ぶれと言われている。だがこればかりは各選手の成長過程と、周りの選手たちの顔ぶれなどにも左右され、予想するのが難しいのである。
日本男子は高橋大輔を筆頭に、宇野を含めてこれまで5人が世界ジュニアタイトルを手にした。だがシニアへの移行の過程はそれぞれ違う。
たとえば高橋がシニアデビューを果たした2002年当時は、まだエフゲニー・プルシェンコが圧倒的な強さで君臨しており、また当時の本人のメンタル的な弱さもあってジュニアとシニアの壁は厚い印象だった。だがそこから7年の歳月をかけ、ついにシニアでも世界の頂点に到達した。