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内田篤人はロナウドの目を見ていた?
ドリブルで抜かれなかった理由とは。
posted2015/02/20 10:50
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
昨年に続いて実現した、シャルケとレアル・マドリーによる決勝トーナメント1回戦。昨年のこのカードでシャルケは、ホームでの第1レグを1-6で、アウェーでの第2レグを1-3で落として、あっけなく大会から去ることになった。
ホームで屈辱的な1-6という大敗を喫したとき、内田は膝の怪我のために日本でリハビリ中だった。日本時間の深夜に試合が行なわれていたため、リハビリの拠点としていたJISSのベッドの上で目を覚まし、この大敗を知った。
「レアルとやれる機会なんて滅多にないわけだから。出たかった」
後に内田はそのように語ったが、その“滅多にない”機会でシャルケは無残なまでに散ったのだった。
今年はどうなるのか。
シャルケがグループステージ最終戦を迎えた時点で、自力でのグループ突破が不可能な状態だったのは、最近3回の出場で1度もなかったこと。他にも、今回の対戦は昨年と異なる要素が多くある。
現在シャルケは主力級の選手を怪我で7人も欠いており、ディマッテオ監督は理想を捨てて5-3-2というシステムで、ロングボールとカウンターを主体としたリスクを排したサッカーで少しずつカウンターを拾ってここまでやってきた。
レアル・マドリーも怪我人を多く抱えており、2月に入ってからは調子も落としている。
ひょっとしたら昨年とは違う戦いが出来るのではないか……そのように見る向きもあった。
注目されたロナウドと内田のマッチアップは?
そうした見方は半分は正しかったが、もう半分は間違っていたと言わざるを得ない。
日本では相手の左サイドに構えるC・ロナウドと内田のマッチアップが注目されていたが、後半に数回対峙した場面をのぞけば、むしろロナウドは中央や右サイドでのプレーが多かった。内田はこう振り返っている。
「ベンゼマもこっちに流れてきたし。ベイルはあまりこっちのサイドに流れてこなかったけど、ロナウドは真ん中に行ったり、左に行ったり、そこは自由な攻撃なんだと思う。後半はサイドチェンジで振られて振られて、疲れてくると苦しかったけど、それまでは誰がどこのポジションに入っていても、ボールにいって、コンパクトに守備をするというのは意識していました」
その言葉通り、内田をはじめシャルケの守備陣は序盤から相手の攻撃にしっかりと対応しており、決定機もほとんど作らせなかった。