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内田篤人はロナウドの目を見ていた?
ドリブルで抜かれなかった理由とは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/02/20 10:50
リベリーやロッベンと日頃からマッチアップしている内田篤人をして「止めるイメージが、どうしてもわかない」と言わしめるクリスティアーノ・ロナウド。
絶好機が、選手とファンを勇気づけた。
内田はペナルティエリアに入ったところで、このボールを左ななめ後ろにいたプラッテへ落とす。フンテラールに代わって入っていた若いフォワードが思い切り右足を振り抜いたシュートはしかし、クロスバーにはじかれる。そのボールを拾った内田が再びシュートを放つも、必死のスライディングを見せたマルセロの背中にブロックされ、最後はGKの手の中へボールは吸い込まれた。
「ガンガン出て行って、後ろを空けるくらいなら行かないですよ。だって、後ろで待っている人(ロナウド)がいるからね。ああやって、後ろで待たれるのが一番嫌だ。そうされるくらいなら、守備を頑張ってこちらの動きについて来られる方がいい。ともかく、行けて1回か2回かなあって思っていた。マルセロの体の向きが悪かったから、これは絶対にいけると思って……」
ただ、このワンプレーをきっかけに、相手に大きなチャンスをあまり与えなかったかわりに、自分たちも決定機を作れなかったシャルケの選手たちが、同点にむけて前に出ていくようになった。スタンドを埋め尽くしたシャルケのファンたちが、選手たちの背中を押したのは間違いない。
「うちのキーパーの彼も頑張っていたけど……」
しかし、そんなムードに冷や水を浴びせる場面が後半34分にやってくる。ロナウドが左サイドで縦にドリブルをしかける。内田らが対応してロナウドは抑えたが、彼からのパスを受けたマルセロが中に入り、そのまま右足で豪快にゴールを決めたのだ。
反撃に出始めたシャルケの選手たちとファンを奈落の底に叩き落とす一発だった。もちろん、反撃ムードなだけに、ここで相手にゴールを奪われたらやっかいなことになるというのは内田も十分に理解していた。
「いつも警戒はしてるんだけど……。雰囲気が良かっただけに『はぁ~』ってなったところはあった。うちのキーパーも頑張っていたけど……」
結局そのショックから立ち直ることはなく、シャルケはホームでの第1レグを0-2で落とすことになった。