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内田篤人はロナウドの目を見ていた?
ドリブルで抜かれなかった理由とは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/02/20 10:50
リベリーやロッベンと日頃からマッチアップしている内田篤人をして「止めるイメージが、どうしてもわかない」と言わしめるクリスティアーノ・ロナウド。
「ボールは見てねえもん」
「たまにイメージトレーニングをしてみると、だいたいどの選手が来ても大丈夫だと思えるようになってきたけど、ロナウドだけはやってみないとわからない」
かつて内田はそのように話していたが、この試合でマッチアップした場面では、彼に抜かれることもなく、安定した対応を見せていた。ロナウドの得意とするまたぎフェイントへの対応についても、内田はこう語っている。
「別にあんなところでまたがれても……ボールは見てねえもん。相手の目しか見てなかった。一回だけだから、抜きにかかってくるのは。抜くぞ、抜くぞ、抜くぞっていうのは別に。でも、もし、あそこでパッと(足を)出して、フッと前に行かれたら、『ハッ!?』てなって、追いつかないから。
足出せっていう(フェイント)。リベリーとか上手い選手はそう。ネイマールもね。(ボールをディフェンダーの前に)さらすのが超上手い。あれで(集中力が)切れて、足を出すとスコーンと行かれる」
それでも終わってみれば、そのロナウドにもゴールを許し、チームは2点差をつけられて敗れることとなってしまった。
「ホント、彼らは難しいことはやってないんだけど」
「もちろん、1点返したかった」と話した内田だが、アウェーで行なわれる第2レグでは試合開始から点を獲るために前に出ていくのかという問いにはこう答えていた。
「前に行く時と守る時のバランスは大事だから。オレらがガンガン前に行ったら、相手の思うつぼだからね。そこら辺に一発の怖さがある。行けば点をとれる、というわけじゃないからね」
昨年のシャルケとレアルの一戦では、お互いに良いところを出そうとした結果、レアルの長所が目立ち、スコアにも試合内容にも大きな差がついた。
しかし、今年の第1レグではお互いに相手の良いところを出させないように戦っていたなかで、90分が終わってみればスコアにはしっかりと差が出てしまった。
自分たちの良さが出せるときには徹底的に、それが出せないときには工夫して、大事なポイントを押さえてきたのが現チャンピオンのレアル・マドリーだった。
「ホント、彼らは難しいことはやってないんだけど……。それで点を取る。すごいところにボールを蹴る。早く、正確に、みたいな。(レアルの強さは)止める、蹴る、走る、っていう部分ですよ」
内田はこの一戦とレアルの強さをそんな風に表現してみせた。