Jをめぐる冒険BACK NUMBER
ネルシーニョと真逆の“所信表明”。
柏・吉田監督が初戦で見せたもの。
posted2015/02/18 16:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
新監督にとっての初戦というのは、所信表明の場だ。
これから我々は、こうしたサッカーをしていく――。そんな力強いメッセージをピッチの上からサポーターに発信する大事な機会で、単なる公式戦以上の重みがある。
その点で、ACLプレーオフのチョンブリ戦は、今シーズンから柏レイソルの指揮を執る吉田達磨監督の志向するスタイルがよく表れていた。
結果は、延長戦にまでもつれ込む3-2の辛勝だった。しかしピッチの上では、やや乱暴な言い方をすれば、ネルシーニョ前体制とは真逆、つまり、相手への対策を入念にして守備から試合に入るのではなく、自分たちが主導権を握って相手陣内でゲームを進めていくスタイルが展開されていた。
チョンブリ戦の数日前、4-3-3の右ウイングに入ることが予想された工藤壮人が、新スタイルの“楽しさ”について語っている。
「僕らがボールを持って主導権を握って攻撃していくと、相手は取りに来ようとするからマークがどんどんズレていく。すると僕らはフリーになれるから、なおボールが繋げるようになって、相手は焦れたり、イライラしたりしてバラバラになっていく。そういうのがプレーしていてすごく感じられるから、楽しいし、面白いです」
吉田監督の「相手を破壊する」というエッセンス。
その言葉を頭に入れてピッチを眺めていると、たしかに随所に心理的な駆け引きが透けて見え、相手が困惑している様子が伝わってくる。
サイドに人数をかけて相手を食いつかせると、逆サイドの裏を突いてビッグチャンスを作り出す。軽快なテンポでショートパスを繋ぎ、バイタルエリアでボールを出し入れしたかと思えば、コンビネーションで裏を取り、フィニッシュへと持ち込む。
チョンブリからすれば、あっちをマークすればこっちがフリーになり、こっちのスペースを埋めればあちらのスペースを突かれる――。そんな“為す術ない”状態で、そこに吉田監督の言う「相手を破壊する」エッセンスが感じ取れた。