Jをめぐる冒険BACK NUMBER
ネルシーニョと真逆の“所信表明”。
柏・吉田監督が初戦で見せたもの。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2015/02/18 16:30
Jで3年連続二桁ゴールを決めているレアンドロの得点力は健在。上背はないが一瞬の動きでシュートに持ち込む能力はリーグ屈指だ。
「まあ、焦らないで下さいよ」と言いたげな大谷。
一方、少し気になったのは茨田である。プレーメーカーの彼がアンカーに入るということは、ほぼすべての攻撃においてボールが彼を経由するものだと思っていたが、そこまで彼にボールが集まるわけではない。果たしてそれは改善点なのか、問題ないのか。
その点について大谷にぶつけてみると、こんな答えが返ってきた。
「やっぱり今まではセンターバックにその意識が求められていなかったですからね。でも、この1カ月、(鈴木)大輔もマス(増嶋竜也)も、バラ(茨田)を見る意識がすごく高まってきている。バラももっと呼び込む必要があると思うし、自分やタケ(武富)が寄って行ってピックアップしてもいい。そこは本当にこれから。今いろんなことにチャレンジしている最中なので、あまり詰め込みすぎず、一つひとつできるようにしていきたい」
落ちついて説明するキャプテンの顔には、「まあ、焦らないで下さいよ」と書いてあった。
そうなのだ。まだ2月半ばで、公式戦1試合が終わったばかり。始動日から4週間しか経っていないことを考えれば、新スタイルの浸透度は、上々だと言っていい。
簡単に裏を突かれた失点シーン、47本のシュートを放って3点しか奪えなかったゴール前での精度をはじめ、修正点は数多くあって当然なのだ。
グループステージ初戦は、いきなり全北現代と。
柏がACLプレーオフを突破したことで、日本からはガンバ大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、柏の4チームが来週から始まるACL本戦に出場する。
柏は2月24日、いきなりグループステージの大一番、韓国の全北現代とのアウェーゲームを迎える。全北現代は'12年のACLグループステージ、'13年のACLラウンド16で計4試合対戦して全勝している相性の良い相手だが、これまではとは異なる戦いになると大谷は予想する。
「彼らとは毎年対戦してきましたけど、今のレイソルは彼らのイメージするレイソルとはちょっと違いますから」
新スタイルでも全北現代に勝利できるか。柏にとっては今シーズンを占うひとつの試金石になる。