サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
試合の入り方と中2日のマネジメント。
アジア杯、ベスト8敗退の本質とは。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/01/24 11:25
UAEとのPK戦、6人目に登場し失敗した香川真司は、茫然とした表情でピッチに座り込んだ。
エンジンが掛からないまま、失点を喫してしまう。
エンジンの掛かりが遅いところで、失点シーンが生まれてしまう。
前半7分だった。日本の左サイドからフリーでボールを出され、スピードのあるマブフートに決められた。ケアしなければならないパスの出し手と受け手への対応が遅れてしまった。無失点を続けてきた彼らの本来の姿でないのは明らかだった。
森重真人は悔しそうに振り返る。
「(中2日で)疲労の部分でどうのこうのとか、そういうことは言いたくない。それ以上に自分たちのポジショニングのミスだったり、最後の(シュートの)精度だったり、そういうところが足りなかったから、負けたんじゃないかなと思う」
前半15分過ぎからはUAEを圧倒して、相手にシュートチャンスすら与えていない。そこからはメモしきれないほどのチャンスのオンパレードだった。だが時間のかかったチューンアップが終わっても、全体的にトップギアに入っていかないままの状態がリズムを狂わせていた。
アギーレは中2日による影響を認めていないが……。
「ケアレスなところから失点してしまい、それを追いかける展開になってしまった。しかし選手たちは最後まで戦い続けたと思う。最終的に相手が勝利したが、良いサッカーを見せ、相手より点を取ろうと最後までトライしていたのは我々のほうだった」
アギーレは試合後の会見で、中2日による影響を認めてはいない。しかし全体的に動きが重いと感じたからこそ、後半スタートから武藤嘉紀を投入したように思う。
武藤のエネルギッシュな動きがチームを活性化したのは間違いなく、二の矢で放った柴崎も続いた。彼らに引き上げられて、ようやくトップギアに入ったように思えた。
120分間通して走ったのは日本だし、先にへばったのはUAEのほう。圧倒したのも日本。試合トータルを踏まえて中2日の影響はないとの主張も理解できる。
だが、勝てなかったのは揺るがない事実だ。結果的には立ち上がりの鈍さがそのまま勝負の命運を分けてしまった。いかなる状況にあろうとも勝たなければならないレベルの相手に、星を落としてしまった。ナイーブな一面を見せたチームに問題はあるとはいえ、指揮官のマネジメントにやはり一番の敗因を求めざるを得ないと言える。
集中力の継続を求めながら、集中力の欠如を生む芽があればそれを摘むのが指揮官の役割のはずだ。
準々決勝が中2日になること、オーストラリアが夏であることを想定すれば、メンバーの入れ替えや心身の調整法も考えなければならなかった。もし先発メンバーを固定しても勝てると踏んだのであれば指揮官自身、アジアのレベルを軽視したと思われても仕方がない。
闘うチーム、勝ち切るチームを目指して強い勝ち方でグループリーグを全勝突破したとはいえ、大会を戦い抜くだけのプランニングが十分ではなかった。