サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
試合の入り方と中2日のマネジメント。
アジア杯、ベスト8敗退の本質とは。
posted2015/01/24 11:25
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
シドニーの悪夢――。
6人目に決められてPK戦での敗北が決まった瞬間、サムライブルーの面々はひざをつき、ピッチに崩れ落ちていく。天を仰ぐ者もいれば、うつむいたまま顔を上げられない者もいた。2連覇の目標が断たれたばかりでなく、ベスト4入りを逃がしたのは1996年大会以来という厳しい現実を突きつけられた。
PK戦が時の運であることは分かっている。だが攻撃の要である本田圭佑と香川真司が最初と最後に外してしまったことが、この試合を象徴していたように思えてならなかった。
チャンスを決められない、決め切れない。
35本放ったシュートのうち、ゴールネットを揺らしたのは途中出場の柴崎岳がこじ開けた1本のみ。逆にUAEはわずか3本のシュートのうち、1本を決めた。
「一番悔いが残るのは追加点を取って、試合をPK戦までに決することができなかったところ」
試合後、本田圭佑は2点目を奪えなかったことを何よりも悔やんだ。
これまでのアギーレジャパンの姿ではなかった。
ハビエル・アギーレの采配は、裏目に出た。
グループリーグ3戦を同じ先発メンバーで臨み、この中2日という状況ながら彼は誰一人としてメンバーをいじらなかった。対するUAEは中1日、多い。
これまでの立ち上がり方、ゲームの入り方とは違った。最初から一切の隙を見せようとしない今大会のアギーレジャパンの姿ではなかった。
開始4分、右サイドでボールを奪われてカウンターを浴びたとき、チーム全体の反応の鈍さが浮き彫りになった。10番オマール・アブドゥラフマンを中心にしたパスワークでアンカーの横のスペースを突かれても、その反応の鈍さは変わらなかった。アンカーの横のスペースを狙われ、ボールを奪えなかった。
アブドゥラフマンがサイドから中に入ってきて、2トップと合わせて前の3人が流動的に動いてくるのがUAEの特長だ。頭で理解していても攻守の切り替えのところで体がついていかない、そんな印象を受けた。