オリンピックへの道BACK NUMBER
最高到達点309cmの16歳、宮部藍梨。
女子バレー高校選手権優勝の超新星。
posted2015/01/17 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
東京が2020年のオリンピック開催地に決まってから、若い選手たち、つまり5年後に五輪に出場する可能性がある世代の意識には、確実に2020年が刻まれることになったように思える。
「2020年の東京オリンピックを目指してがんばります」といった類の言葉をしばしば聞くのは、その表れだ。
メディアもまた2020年を想定しての視線を向けることが増えた。ジュニアの選手が取り上げられる機会も多くなっているし、そうした周囲の動きも選手本人の意識に影響を与えることになる。
1月11日に閉幕したバレーボールの全日本高校選手権でも、これからが楽しみな選手たちが活躍を見せた。
その中でも脚光を浴びたのが、女子で初優勝した金蘭会高校(大阪)の1年生、宮部藍梨だった。
準決勝ではスパイクでの23点を含め、サーブ、ブロックあわせて両チーム最多タイとなる計29得点。決勝でも計24得点と両チーム最多を記録、最後はレフトから相手の2枚ブロックの上を抜き、試合を決めてみせた。
もちろん金蘭会の優勝は、宮部の力だけに頼ったものではない。主将のセッター堀込奈央、第2セッターであるかのような活躍も見せた小池杏菜や全体に浸透した粘り強いバレーなど、チームには確立された戦い方があった。そのチーム全体の力あってこその優勝だ。
しかしその上でも、宮部の活躍は目を惹くものがあった。
身長182cm、最高到達点は3m9cm。
最大の魅力は「高さ」だ。身長182cm、最高到達点は3m9cmに達するという。これは全日本のウイングスパイカーたちにひけをとらない、あるいは上回る数字だ。決勝でも見せたバックアタックなど、その高さをいかしたスパイクは威力十分だった。
小学3年生でバレーボールを始めた宮部は、2013年の全国都道府県対抗中学大会で、将来、最も有望な選手に与えられるJOC・JVAカップを受賞するなど、中学生の頃から注目を集める存在だった。
高校に入学すると、2020年に向けて集中的に強化していく選手たちを集めた「Team CORE」に選出された。女子は8名いるが、大竹里歩、宮下遥らの全日本メンバーと一緒に、最年少の年代の1人として選ばれているところにも期待の大きさがうかがえる。