オリンピックへの道BACK NUMBER
最高到達点309cmの16歳、宮部藍梨。
女子バレー高校選手権優勝の超新星。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2015/01/17 10:40
宮部藍梨は、ナイジェリア人の父と、日本人の母を持つハーフ。金蘭会高校の全日本高校選手権優勝は史上初の快挙だ。
少しずつ、自覚と意欲をふくらませてきた。
昨年10月にはアジア・ユース選手権の日本代表に選ばれ、優勝を果たした。大会のMVPにも輝いている。
一方で宮部本人は、もともとそれほど貪欲な性格ではないという。バレーボール自体も、高校に入ってから続けるつもりはなかったし、積極的に2020年に向けて発言することもなかった。
ただ、先にも記した中学3年生のときのJOC・JVAカップの受賞や、異なる年代の選手と接する機会が多くなるにつれ、刺激を受けるとともに、少しずつ意欲をふくらませてきた。
以前は決して勝負強い選手ではなかったと言われるが、今大会では主将にトスのリクエストを出すなどの積極性も見せた。そんな宮部について堀込が「エースの自覚が出てきました」とコメント。成長した姿を見せる大会ともなった。
もちろん、課題はある。
レシーブ力もそうだし、現在は抜きん出た高さが武器となっているが、いつまでも高さがアドバンテージになるわけではない。国際大会に出る機会が増えていけば、身長の高い選手ともたくさん対戦する。カテゴリーが上がっていくにつれ、高さだけに頼ってはいられなくなる。
それでも、宮部がこれから周囲の期待や視線を集めることは間違いない。
彼女がそれを糧にさらに自覚を増し、課題を克服していけば――。楽しみな選手がまた1人、出てきた。