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「主役」宇佐美貴史の成長度。
ガンバ優勝までの1年を振り返る。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2014/12/08 11:55
ガンバ大阪のJ1復帰初年度優勝をもたらしたエース・宇佐美貴史。開幕から8節を欠場したものの、最終的にゴール数は10の大台に乗せた。
パトリックとの連係が生んだ“副次効果”。
それでもブラジルW杯の中断時点で、ガンバの順位は16位だった。
中断期間に、チームは夏からの巻返しに向けて立て直しを図った。
最も大きな変化は、FWパトリックの獲得だ。得点力のあるパートナーの存在が、宇佐美の良さを引き出したのだ。それまではドリブルでの単独突破が多かったが、2人の連係で相手を崩したり、下がった宇佐美からのロングパスで裏に抜けたり、と多彩な攻撃ができるようになった。2人は、ガンバ復活の象徴だった。
「単純に言うたら自分のコンディションも上がったけど、パトとの連係が良くなったのも自分にとって大きい。パトが裏を狙ってくれるんで、バイタルが空いてそこを狙うとか、いろんなパターンが増えた」
多彩な攻撃は2人の関係に止まらず、チーム全体にも波及した。最前線の2人が機能することで、2列目の阿部浩之や大森晃太郎、倉田秋にもスペースが空いたり、シュートを狙うチャンスが増えた。徐々にガンバは、どこからでも点が取れるチームになっていった。
ガンバといえば遅攻がお家芸だったが、今シーズンは速攻も取り入れている。遠藤保仁が攻撃のスピードをコントロールし、相手チームの出方によってうまく使い分けができている。そのために相手はガンバの攻撃に的を絞ることができず、一度破綻すると大量失点をしてしまう。7月の清水戦(4-0)、神戸戦(5-1)ではガンバの攻撃が開花し、その後を戦う上で大きな自信になった。
上位対決を連勝で一気に差を詰める。
GK東口順昭を筆頭にチーム全体の守備意識が高まり、サボる選手がいなくなったことも大きい。攻撃だけではなく、守備だけでもない。勝ち進む度にチームのバランスは改善され、安定感を増していった。
「優勝へのポイント」と宇佐美が語った鳥栖、鹿島、川崎と上位対決がつづく秋の陣は、まず鳥栖に4-1で完勝。つづく難敵の鹿島にも、先制を許しながら3-2で逆転勝ちした。
「鹿島戦が僕の中ではターニングポイントになったと思います。ギリギリの戦いを逆転で取ったことで、勝つクセがついたというか。ここで優勝を意識したし、チームが乗っていくキッカケになったと思います」