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1試合と1年間、それぞれの“終盤力”。
浦和が浴びたブーイングの内実とは?
posted2014/12/09 10:40
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
優勝を逃したとはいえ、2位でフィニッシュしたチームに対してブーイングが鳴り響く光景はあまり記憶にない。
12月6日、埼玉スタジアム2002。前節で首位を明け渡した浦和レッズだったが、名古屋との一戦に勝利し、他会場の結果次第では2006年以来のリーグ制覇を掴むチャンスはあった。
前半2分、CKから槙野智章のヘディングで先制する。しかし先制後もリズムに乗ることができず、72分にCKから牟田雄祐に、そして89分にはパスミスから永井謙佑にゴールを叩きこまれ、万事窮した。同時刻キックオフで行なわれた徳島vs.G大阪がドロー、鹿島vs.鳥栖では鹿島が敗戦したため、結果的には、勝ち点3を得れば優勝に手が届いていた。
「決して、下を向くようなシーズンではなかったと思います」
就任3年目のミハイロ・ペトロビッチ監督は会見でこう口にしたが、その表情と口調からは明らかに悔しさが感じられた。
無理もない。就任3年目の今季は攻守バランスが向上し、初の首位に浮上した第11節以降、ほとんどの期間で首位をキープし続けていたのだから。
試合の、そしてシーズンの締め方。
来季、浦和が改善すべき点はハッキリとしている。
それは、将棋の表現でいう「終盤力」である。
「終盤力」を平たく説明すると、相手の王将を“詰ませる”ために逆算していく力である。これを浦和にあてはめると、1試合ごとに勝利を得るための“試合の締め方”、そしてタイトル争いの佳境でもチーム力を維持する“シーズン終盤戦のマネジメント”、この2つの面に課題が残ったのではないか。