サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ザックの理想、アギーレの現実路線。
内田が示唆した真の“継続性”とは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2014/11/19 11:00
オーストラリアを相手にゴールを決めた今野泰幸と岡崎慎司。ホンジュラス戦と合わせ、ザックジャパンの主力が、その所以を見せ付けることになった。
内田「若手を使えばアギーレ色なのか。そうじゃない」
アギーレ監督は9月と10月の4試合では代表歴の少ない若手を積極的に使ったが、アジア杯までのテスト期間が終わりに近づいた今回は遠藤や今野、内田を初招集。彼らを新チームの“即戦力”として起用し、これが成功して2連勝を飾った。
これには選手間からも賛同の声が出ている。内田はオーストラリア戦後、“継続性の意義”についてこう言及している。
「ザックさんのときのメンバーが戻ってきたら、アギーレさんの色がなくなっちゃうのかという雰囲気があったけど、僕は全然そう思わない。今までやってきたことを一回切ってしまうのではなく、どんどんつなげていけばいい。そうでなければ、何の4年間だったのか。どっちがいいとかじゃない。若手を使えばアギーレ色なのか。そうじゃない」
「うまくいかなければ100回中100回蹴ってもいい」
アギーレ監督のもう一つの特徴的な事実は、勝利のためには割り切ったサッカーも選択肢に入れる、いう考えを選手に示したことだ。
オーストラリア戦ではビルドアップに苦しんだ前半、日本の攻撃はロングボールが多くなっていたが、これは監督からの指示だった。岡崎は、戦いの引き出しが増えていくことについて、こう語っている。
「監督は試合前に『蹴ることそのものが悪いことではない。狙いがあれば蹴ってもいい。うまくいかなければ100回中100回蹴ってもいい』と言っていた。勝ちに徹することは良いことだと思う」
試合中にシステム変更をしたことも含めて、アギーレ監督は勝利のための柔軟性というものを持っているようだ。
指揮官は8月に行なった監督就任会見で4年間のキーワードを聞かれ、「とにかくコミットしたい」と答えていた。この場合の「コミット(メント)」とは、与えられた役割に対して責任を持って献身的に取り組むということだろう。
アジア杯で勝つためには、試合中のあらゆることに臨機応変に対応していく力も求められる。柔軟で現実的な思考を持っているアギーレ監督。オーストラリア戦で示した姿勢が日本のベースに加えられたことは、アジア杯連覇に向けての好材料になる。