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天皇賞・秋、府中の2000mで激突する
3頭のダービー2着馬と、歴史的女傑。
posted2014/11/01 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
節目の第150回となる天皇賞・秋(11月2日、東京芝2000m、GI)。伝統と格式ある盾獲り合戦に、18頭の駿馬が名乗りを上げた。
天皇賞・秋の施行距離が、春と同じ3200mから2000mに短縮されたのは1984年。ちょうど30年前のことだった。
その3年後の'87年から3歳馬(当時は数え年だったので4歳)も出走できるようになり、菊花賞に距離適性のない有力な3歳馬がここに狙いを定めるようになった。しかし、やはり古馬の壁は厚く、'87年以降、勝った3歳馬は'96年のバブルガムフェローと2002年のシンボリクリスエスの2頭しかいない(ただし、1937年に東京芝2600mで行われた第1回天皇賞・秋は3歳のハツピーマイトが制している)。
バブルガムフェロー、シンボリクリスエスに匹敵する3歳馬。
今年は、バブルやクリスエスに匹敵する強い3歳馬が参戦する。
皐月賞馬イスラボニータ(牡3歳、父フジキセキ、美浦・栗田博憲厩舎)である。
4連勝で皐月賞を制し、ダービーでは3/4馬身差の2着。秋初戦のセントライト記念でトゥザワールド以下を余裕を持って完封し、同世代のなかでは力が抜けていることをあらためて示した。
中距離での爆発力は、古馬のなかに入っても間違いなくトップクラスだ。しかも、安定して力を出せる強みがある。
主戦の蛯名正義がフェノーメノに騎乗するため、フランスの名手クリストフ・ルメールが手綱をとる。追い切りに騎乗したルメールは、「素軽いのに力強さがあり、ディープインパクトのようだ。苦労して進むのではなく、自然と加速していく」と絶賛している。体全体を使った「ネコ科のような走り」をするという点では、確かにディープによく似ている。
スタートしてすぐコーナーがあるこのコースで外目の15番枠はマイナス材料だが、競馬が上手なタイプなので心配ないだろう。
先日、ミルコ・デムーロとともに来年度のJRA新規騎手免許第1次試験に合格したルメールが、「日本の騎手」となる前祝いのビッグタイトルを手にする可能性は、かなり高いと見ていい。