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森重真人がアンカー起用される理由。
4-3-3の特性と、アギーレの“哲学”。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/10/27 10:40
かつては課題だったファウルの多さも落ち着き、いまや日本を代表するCBに成長した森重真人。今度は日本代表のアンカーになることができるか。
守備に特長がある日本人ボランチは少ない。
細貝のプレーが、今後のアンカー争いに拍車をかけたことは間違いない。
しかし、代表招集で森重をあえて“MF登録”にしたことからは、アギーレ監督が彼にアンカーを託そうという確かな意志が見て取れる。
これまでも日本のボランチには、多くの才能溢れる選手がいた。ただし、思い浮かぶのはどれも攻撃的なタイプの選手ばかり。ボールを保持してプレーの主導権を握った状態では輝いても、守備に回るとどうしても世界とのフィジカルの差が目立った。
例外は2010年W杯で奮闘した阿部勇樹くらいのもので、今回の2014年W杯でも、長谷部誠や山口蛍は、コートジボワールの押し寄せる波を止めきれなかった。
ならば、ボランチの選手よりも守備に特化したDFにそのポジションを任せることができれば、状況は変わるかもしれない。さらに、足元の技術まで兼ね備えていることが望ましいとなれば、現在の日本に森重を超える適任者はいない。
「『アンカー=森重』と言われるレベルに」
ブラジル戦後、森重はアンカーへの思いをあえて封印した。
「今後ですか? まあ、どこでプレーしてもベストを尽くすだけです」
ただ、この言葉を額面通り受け取ることはできない。森重は、アンカーでプレーすることを、自分の新たな成長の糧として捉えている。
「やっぱりアギーレ監督が自分をどこでプレーさせたいかというと、それはアンカーだと思う。もちろん自分はセンターバックもできる。どちらもプレーするための準備はしていくつもり。ただ、アンカーでやるべきことを全うしたい思いもある。
アンカーというポジションに挑戦するのであれば、そこのスペシャリストと言われるぐらいまでのプレーができるようになりたい。そういう意味でも、9月の単発で終わらせたくはない。アンカーとして“君臨”するというか『アンカー=森重』と言われるぐらいのレベルになれるように」
森重は、あまり大言壮語を吐く選手ではない。どちらかというと闘志は胸に秘める選手だ。そんな彼が“君臨”というフレーズを使うまでの表現をしたアンカーへの思い。
11月、アギーレジャパンはホンジュラス、そしてオーストラリアと戦う。来年1月のアジアカップ前、最後の試合だ。アギーレ監督は、再びアンカーに森重を起用するのだろうか。どちらにせよ、4-3-3を機能させるのであれば、アンカーに守備力と足元を兼ね備える選手の起用は必須。DF出身の森重がその場所で“君臨”することができれば、日本の中盤は過去にないほどタフになるに違いない。