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対照的だった片山晋呉と池田勇太。
日本OPは「たかが」か「されど」か。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byKyodo News
posted2014/10/21 16:30
選手会長との二足の草鞋で心配された池田勇太だが、日本オープン制覇で6年連続となるツアー勝利。この勝利で、初の賞金王も視野に入ってきた。
思惑が全く逆だった、片山晋呉と池田勇太。
そして最終日を前に2位タイと、最終組でトップを追う立場を確保したとき、片山は言った。
「追いかける方が、日本オープンは楽なのは分かっている」
ところが、追われる立場の池田勇太はこう思っていた。
「3日目に首位に立って良かった。トップに立って明日を迎えられる。自分のイメージ、考え通り」
両者の思惑は真逆だったのである。
池田は試合に臨む心持ちからして、片山とは対照的だった。最近でも、池田のこのタイトルへの認識は、悪く言えば「たかが日本オープン」という程度のものといってよかった。
数週間前に、「日本オープンで勝ちたい」と漏らした長年連れ添っている福田央キャディに対して「ふーん、そんなもんかね」。モチベーションといえば、相棒がそう言うなら頑張るか、くらいのもの。
セッティングゆえに、興味を持てなかった日本オープン。
尾崎将司が70cmのウィニングパットの前に手が震えてアドレスをといた1988年大会をはじめ、歴史的シーンは池田ももちろん知っている。学生時代は'03年、'07年と2度ローアマになり「アマチュアの時はこの大会しかなかった」と、それなりに強い思いを持って戦っていた。
しかしプロ転向後は“過去の”コースセッティングゆえ、タイトルへの興味、関心は次第に薄れていったという。「ナイスショットがピンに寄らない、ラフに入ったら『何も考えずフェアウェイに出しましょう』では面白くない。悪いけど、アマチュアと一緒だよ」
「でもそれが、やっと去年くらいから変わってきた。我々プロの技量を出させてくれる、心をくすぐられる。だからヤル気が出てきた」
そんな思いがやっと芽を出し始めたところではあったが、片山の熱意には到底及ばなかった。