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田中将大の今季復活に黄色信号!?
手術か回避か、苦渋の二者択一。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2014/09/07 10:40

田中将大の今季復活に黄色信号!?手術か回避か、苦渋の二者択一。<Number Web> photograph by Getty Images

9月中の復帰へ向けて調整を続ける田中将大投手。ニューヨークの地元メディアの多くは、早すぎる復帰に対して疑問を投げかけている。

手術をしても回避しても、完全復帰の保証はない。

 田中に靱帯部分断裂が発覚し、ヤンキースがトミー・ジョン手術を回避する決定を下した時から、地元メディアの間ではその決定に対して懐疑的な意見があった。

 もちろん、田中を検査した3人の医師がすべて“手術の必要なし”との診断を下したことが重要な判断材料になっているのは間違いない。

 さらにブライアン・キャッシュマンGMが危惧しているようにトミー・ジョン手術から復帰した中には手術前のようなパフォーマンスができなくなっている投手がいるというのも確かな事実だろう。

 しかし皮肉にも今回の一件で、手術を回避したとしても本当に元通りの状態で復帰できるかどうかは誰にもわからない、という不安要素がつきまとうことになった。

 しかも、田中が受けた治療法は血小板注射を患部に施す「PRP療法」というものだったが、日米で活躍する知り合いのトレーナー数人から話を聞いたところでは、現段階ではこの治療法が明確な効果を得られるという共通認識は確立されていないようだ。

地元メディアは手術を主張しているが。

 また、PRP療法を採用したところで部分断裂した靱帯が完全に元に戻ることはなく、将来的にはさらに断裂が広がる可能性も残されている。

 負傷前わずか3カ月の活躍で、今や押しも押されもせぬヤンキースの大黒柱として認められる存在になった田中。

 地元メディアでは、復帰時期が明確にならないまま時間を浪費するぐらいなら、いっそのこと手術に踏み切るべきだという意見が多い。

 ある程度の復帰プランを明確にして、しかも靱帯が完全に修復されることを考えれば、トミー・ジョン手術を行なう方がいい、というメディアの主張にも説得力がある。

 現在はプレーオフ争いを続けるチームや今シーズン限りで引退するデレク・ジーター選手の話題で持ちきりだが、もし仮に田中が今シーズン中の復帰ができなかった場合、再び地元メディアから疑問の声が上がってくるのは必至の状況だ。

 果たして田中はメディアの疑念を払拭することができるのか、彼にとってもまさに正念場の9月になりそうだ。

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田中将大
ニューヨーク・ヤンキース
ジョー・ジラルディ

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