マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER

内海、菅野、大谷、今宮、雄平……。
高校時代の彼らの球を受けた男。 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/07/30 10:30

内海、菅野、大谷、今宮、雄平……。高校時代の彼らの球を受けた男。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

敦賀気比高校時代には北陸三羽ガラスと呼ばれた内海哲也。彼が安倍氏の「流しのブルペンキャッチャー」の一人目の投手だった。

注目の高校球児を訪ね、自らマスクを被ってそのボールを受ける。
そんな一風変わった体当たりの「取材」を続ける安倍昌彦さん。
人は彼を「流しのブルペンキャッチャー」と呼びます。
変わった取材からは、やはり変わった体験が得られるのでしょうか。
そんな安倍さんの記憶に残る、現プロ選手たちの高校時代の秘話とは?

 雑誌『野球小僧』で2000年の秋に連載が始まり、その後『野球太郎』に引き継がれ、そしてこの夏創刊された『野球人』でさらに続けられている「流しのブルペンキャッチャー」という企画がある。

 私がその中で、全力投球を捕球した投手の数はこれまでおよそ180人。いずれも、時のドラフト1位候補にお願いしてきたから、今も多くの“卒業生”たちが、プロのマウンドでチームの命運を担いながら投げ続けている。

「誰がいちばん速かったですか?」

「いちばんすごいボール投げた投手は誰ですか?」

 これまでも、よく訊かれてきた。

 今回は「印象に残っている投手は?」。少し趣きが違う。

選手名鑑をめくると、印象に残る選手たちの顔に出会う。

 おかげさまで、今年15年目になる「流しのブルペンキャッチャー」。最初は編集部の意向で、とにかく速いピッチャーを求めて取材を行なった。

 それは、捕手の私が、ドラ1候補たちの目にも止まらぬスピードボールを怖がりながらもなんとか捕球する。そこのところが面白い。そういうコンセプトがあったからだ。

 やがて回数を経るごとに、私が会ってみたい投手、受けてみたい投手、話してみたい投手と、徐々に方向が変わっていったので、その顔ぶれ、投手としてのカラーはバリエーションが豊富になったが、それにしても基本がドラ1であることに変わりはないから、そりゃあ投げるボールは、どの投手もハンパじゃなかった。

 プロ野球選手名鑑をめくりながら、印象に残る投手たちを書き出してみたら、10人を軽く超えてしまった。

 印象に残る投手。私にとっては、思い出残る快腕たちである。

 やはり最初に挙げるのは、「最初の一人」の内海哲也投手であろう。彼が敦賀気比高(福井)の3年の秋だった。

【次ページ】 「ピッチャーだな……」そう思った。

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