マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
内海、菅野、大谷、今宮、雄平……。
高校時代の彼らの球を受けた男。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/07/30 10:30
敦賀気比高校時代には北陸三羽ガラスと呼ばれた内海哲也。彼が安倍氏の「流しのブルペンキャッチャー」の一人目の投手だった。
「もういいでしょ……あぶないから」
ことごとく140km超。右打者の外に147km。やっと捕った。
次のクロスファイアーが一度地面に突き刺さるように来て、そこからぐわっとホップしたように見えた。あわてて出したミットの網の部分をかすめたボールが、後ろのネットに突き刺さった。
「151」
「安倍さん、もういいでしょ……あぶないから、やめようね」
若生監督がタオルを投げてくれた。
「おい、見たか。雄平、速いだろ? お前もああいうボール投げるんだぞ。雄平より、もっと速いボール投げられるようになっからな、お前だったら」
若生監督から投げかけられた言葉が聞こえているのか、いないのか。顔の皮ひとつピクリともさせずにその隣りに座っていたのが、当時まだ東北高の1年生だったダルビッシュ有、その人であった。