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長谷部から清武に継承される主将像。
代表、そして同じクラブで学んだこと。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2014/07/04 11:20

長谷部から清武に継承される主将像。代表、そして同じクラブで学んだこと。<Number Web> photograph by Getty Images

コロンビア戦後の長谷部誠は、あふれる感情を必死で抑えているようだった。翌日の会見、「責任は選手にある」と指揮官をかばった。

ベンチ組も、ピッチ内の選手とともに戦っていた。

 今大会に臨んだ日本代表の中で世界に誇れるものを一つ挙げるとするならば、試合に出ていない選手たちがベンチにいながらも、ピッチに立っている選手とともに最後まで戦う姿勢を見せていたことだ。

 もちろん、ファンからの期待を考えても、選手たちの野心と比べても、日本代表が残した結果は明らかに失敗と言える。

 ただ、前回W杯でのフランス代表がそうであったように、結果が出せないということでチームがバラバラになっていく例はいくつもある。それを考えれば、日本代表の姿は誇っていいものではないだろうか。試合に出ている選手が給水をしようと近づいていけば、ベンチの選手たちが給水ボトルを持って出ていく。日本に不利な判定が出れば、ベンチを飛び出して全力で審判に抗議する。

「満足いく形で試合ができていない中で、それでもチームがまとまって同じ方向を向けているのは、出ていない選手の立ち居振る舞いであったり、彼らの高い(プロ)意識に支えられているのかなというのを強く感じています」

 と長谷部も振り返っている。

清武がニュルンベルクで長谷部の姿勢から学んだこと。

 そうした雰囲気を作りだせたのは、ザッケローニ監督と、その信頼を受けた長谷部が中心になって4年間にわたりチーム作りをしてきたからだろう。いくつもの課題が浮き彫りになった今大会の日本代表だが、結果が悪いなかでも空中分解せずに最後まで戦うことができた、という財産は今後にも引き継いでいきたい。

 W杯前のシーズン、ニュルンベルクでともにプレーした長谷部について、清武は以前からこう話していた。

「1年間ハセさんのそばでプレーできたことが、自分にとっては大きなプラスだったのかなと思います。ハセさんのすごく良い面を一番近くで見られたので。すごく勉強になりましたし。本当に、こういう選手になりたいなというイメージが描けました」

 だから、長谷部がキャプテンマークの返上も考えて監督のもとを訪れた理由の一つに、若い選手が前に出てきてほしいと思っていた事実についてどう考えるか、コロンビア戦から一夜明けたあと、清武に尋ねてみた。すると、清武は力をこめて、こう返した。

【次ページ】 「ハセさんのようになるのは難しいけど、なりたい」

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