ブラジルW杯通信BACK NUMBER
長谷部から清武に継承される主将像。
代表、そして同じクラブで学んだこと。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/07/04 11:20
コロンビア戦後の長谷部誠は、あふれる感情を必死で抑えているようだった。翌日の会見、「責任は選手にある」と指揮官をかばった。
「ハセさんのようになるのは難しいけど、なりたい」
「ハセさんは自分が今までサッカーをやってきたなかで、一番のキャプテンだと思います。そういう選手になるというのはすごく難しいですけど、でも、そういう選手に自分はなりたいと思います。プレーだけじゃなくて、気持ちの面だとか、自分のことだけじゃなくて周りにも目を配れるところとか……。正直、キャプテンになりたいという目標も、ハセさんを見ていたら湧いてくるし。
昨日の試合が終わってから、4年後は自分がキャプテンマークを巻いてやるという目標も出てきた。キャプテンマークを巻いて自分がピッチに立っていることを想像しながら、この4年間を過ごしていければいいなと思います」
清武はブラジルW杯を戦う日本代表の、レギュラーに最も近い若手として期待されながらそこにはたどり着けなかった選手だ。
本田圭佑や長友佑都を欠いた状況で、ブラジルW杯出場に王手をかけて臨んだ2013年3月26日のヨルダン戦や、昨年のコンフェデレーションズカップの初戦となったブラジルとの試合、あるいは昨年11月のベルギー遠征など、清武が代表のスタメンに欠かせない選手となるチャンスは何度かあった。そして、それを活かせなかったことに本人の中で忸怩たる思いはある。
ただ、難しい状況でもまとまりを欠くことのなかったチームを作り上げた長谷部のすぐそばで、清武がW杯前の貴重な1年間を過ごせたことは、未来の日本代表にとって決して小さくない意味を持っているはずだ。
そして、長谷部と過ごした時間が決定的な意味を持っていたと4年後に言いきれるような、日本代表の中心としてチームを引っ張る選手に、清武はならなければいけない。