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2020年東京五輪に出場できない!?
日本バスケット界、混乱の代償は。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2014/06/22 10:30
bjリーグとのプロ統合の難しさをインタビューで語っていたNBLの山谷拓志COO(最高執行責任者)。しかし状況はまったなし、日本バスケット界の命運はいかに。
以前、日本のバスケットボール界についてこう書いたことがある。
「目標は同じ、見ているのは同じ方向のはずなのに、ばらばらの方角を向いているかのように相容れない」
競技を盛り上げたい、発展させたい。もっと強い日本代表を創り上げたい――このような最低限の願いは共有されていると、これを書いた時は思っていた。だが今となっては、そんな最低限の目標すら、同じではないのかもしれないと感じている。
そんなことはない、と反論があるかもしれない。だが、混乱しているとしか言い様のない状態に陥ってから、日本のバスケットボールは既に長い年月が経つ。そして今では、国際連盟から重大な「警告」が発せられている状態にある。
「プロ化」を巡り袂を分かった2つのリーグ。
現在、日本には2つのバスケットボールのリーグが存在する。ナショナルバスケットボールリーグ(NBL)とbjリーグだ。2つに分かれた経緯をひとことで言えば、「バスケットボールのプロ化」をめぐる意見の相違と言ってよいだろう。
もともと'90年代前半には、バスケットボール界でプロ化が意識されていた。だが、実業団などを中心に消極的な姿勢を持つチームも少なくなく、実現へ向けた動きに停滞感が漂う中、2004年に独自にプロリーグとして発足したのがbjリーグだった。一方のNBLは、もとからあったリーグ(JBL)が、運営のあり方や名称変更などを経て今日のかたちとなったものだ。
その間には統合が打ち出されたこともあったが、歩み寄りは見られなかった。
しかし、2つのリーグがそれぞれに存在して運営がなされ、しかも決して良好とは言えない関係にあるのは、日本におけるバスケットボールの地位などを考えれば、大きなマイナスであることは間違いない。