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2020年東京五輪に出場できない!?
日本バスケット界、混乱の代償は。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2014/06/22 10:30
bjリーグとのプロ統合の難しさをインタビューで語っていたNBLの山谷拓志COO(最高執行責任者)。しかし状況はまったなし、日本バスケット界の命運はいかに。
このままでは、2020年の五輪に出場できない?
そうした国内の状況を、このまま放置できない事情も生じている。先にも記した「警告」である。
警告のもとは、国際バスケットボール連盟(FIBA)。昨年12月に同連盟の専務理事が来日した際、日本バスケットボール協会に対し、2つのリーグ、2つのルールが存在すること、協会のあり方などについて改善するよう、通告がなされた。
重要なのは、その際2020年の東京五輪における開催国枠についての言及もあったことだ。バスケットボールの場合、五輪での開催国枠は自動的に設けられているわけではない。ロンドン五輪においても、イギリスが開催国として出場することが認められたのは、大会の1年半ほど前のこと。そして今回、このまま変化が見られないなら2020年の東京五輪において日本に開催国枠を与えないことが示唆されたのである。
改善されなければ、国際試合禁止処分も……。
さらにFIBAからの警告はそれだけにとどまらなかった。上記の問題点について改善が見られない場合、今年10月にも国際試合禁止処分を科す可能性がある、と通告を受けたのだ。その事実を日本バスケットボール協会が明らかにしたのは、通告から半年近くがたった今年5月のことだった。もし国際試合を行なうことができない事態となれば、代表の強化、人気はきわめて大きなダメージを負うことになる。
実は、FIBAからの通告はこれが初めてではなく、2009年からあった。
国際競技団体がそこまで関与してくるのはきわめて異例だし、「なぜ介入されなければいけないのか」という反発もあるが、日本バスケットボール界が混乱しているという事実は曲げることができないものである。
FIBAの昨年の通告を受け、日本バスケットボール協会は2016年をめどに新しいプロリーグを発足させることを今年2月に発表した。だが、bjリーグ側との十分な話し合いがなされないままであったことで、各方面から反発が起きている。