nakata.net cafe サンパウロ奮戦記BACK NUMBER
中田英寿運営のカフェで働く意義は?
サンパウロの日本人スタッフの大志。
text by
川上康介Kosuke Kawakami
photograph byKosuke Kawakami
posted2014/06/20 11:15
「nakata.net Cafe」で日々奮闘する宮野友輝さん(左)と安孫子広さん(右)。
通訳だけでなく調理のお手伝いまでも!?
料理をプロデュースする岡元信シェフがサンパウロ入りしてからは、現地スタッフとの橋渡し役として活躍。通訳としてはもちろん、手が足りないときは、宮野さんが調理に参加することもあったという。
「オープンしたあとは岡元さんが帰国して、ブラジルのスタッフだけで料理を作らなければならないので、岡元さんから『味をしっかり覚えておいて』と言われました。自分でいいのかなと思いましたが、和食の微妙な味については、日本人が把握するしかない。岡元さんが作られた味を一生懸命、舌と頭に刻みつけました」(宮野さん)
宮野さんがキッチンのスタッフとして奮闘していたころ、ブラジルに入ったのが安孫子さんだ。安孫子さんの仕事は、カフェのスタッフ。店員としてだけでなく、日本の紹介をするコンシェルジュの役割も担っている。
「ポルトガルに1年間留学していたので、言葉は大丈夫だと思っていたんですが、実際はかなり別物。英語と米語くらいの違いがあって、慣れるまで1週間くらいかかりました」(安孫子さん)
忙しい仕事の中でも、様々な文化交流を楽しむ。
ブラジルでカフェをオープンするのは、その場にいる全員が初めての経験。オープン初日は、案の定、大混乱となった。
「キッチンとフロアの連携ができてなくて、お客さんは料理を待っているのに、それがキッチンのほうに溜まっていたり、テーブルごとのオーダーが分からなくなったりとか。ブラジル人スタッフとのコミュニケーションの問題もあって、とにかくドタバタでした」(安孫子さん)
2日目には、さまざまな問題も解決。2人ともようやく仕事を楽しむ余裕ができたという。その奮闘の日々は、「モノづくりニッポン e仕事×Revalue Nippon」のHPでも見ることができるので、是非サイトも覗いてみて欲しい。
「ブラジル人のスタッフと話すのが楽しいです。サンパウロの面白いショップやこちらのダンスも教えてもらいました(笑)。プロジェクトの一員として、チームの方々と一緒に働いていると、学ぶことが多いですし、充実感もあります」(安孫子さん)
「スタッフの人数が少なくて大変なのですが、その分、責任感を持って仕事に向き合えています。ブラジル人はいい加減なところもあって困りますが(笑)、自分の思っていることをハッキリ言うし、仕事を楽しみながらやっている。そういう姿を見ていると、僕まで自分を解放して、素のままでいいんだと思えるんです。日本でもこんなふうに仕事をしたいなと思いました」(宮野さん)