プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リーグ史上最高のシーズンの幕引き。
'13-'14プレミアベストイレブン発表。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/05/16 10:30
最終節ホームでウェストハムに2-0で勝利し、優勝を決めたマンC。総合力でライバルたちを一歩上回った。
CBコンビは堅守の2チームから。
●DF バンサン・コンパニ、ギャリー・ケーヒル、シーマス・コールマン、ルーク・ショー
最終ラインの要は、4月半ばのリバプール戦(2-3)で勝ち越しゴールを献上したクリアミスには目を瞑り、バンサン・コンパニに任せる。
マンC優勝の要因は、攻めの意識と守りを軽視しない姿勢の共存。101得点を上げたが50失点のリバプールはリードを守れずに優勝を逃した。トップ4のチームが50点台の失点を喫するのは、2002年のニューカッスル以来だ。
対照的にシーズン半ばに堅守の姿勢を強めたチェルシーは27失点だが、両軍より30点以上少ない71得点。格下を料理できずにポイントを落とした。その点マンCは、102得点37失点。「攻守両用」を象徴する主軸が、ラインコントロールもフィードも巧みなコンパニだった。
CBの相棒は、リーグ最少の27失点でシーズンを終えたチェルシーのギャリー・ケーヒル。洞察力と集中力が向上し、走力で劣るジョン・テリーのカバーにも抜かりがなかった。そのテリーとのコンビは、今季最強のCBコンビとして挙げておこう。
SBにはコールマンとショーの若手2人を抜擢。
両SBにはシーマス・コールマンとルーク・ショーの若手2名を抜擢する。右サイドのコールマンは、ロベルト・マルティネス新監督の積極的采配で才能が開花。デイビッド・モイーズ前監督時代の堅守の殻を破ったエバートンは、4月末までアーセナルと最後のCL出場枠を争ったが、その戦場では、ゴールを狙う自由も与えられた25歳が、試合終了間際になっても相手ゴール前に迫る姿が見られた。
結果としての6得点は、エバートンの先輩でFKの名手でもある、レイトン・ベインズを含む今季プレミアSB陣で最高の数字だ。
左サイドには、そのベインズと、チェルシーのセサル・アスピリクエタという選択肢もあった。攻守にハイレベルなベインズの活躍は、イングランド代表の「アシュリー・コール不要論」につながった。渾身の守りを見せるアスピリクエタは、本職は右SBでありながら、クラブでコールから定位置を奪っている。とはいえ、ショーは弱冠18歳にして8位サウサンプトンでレギュラーを張ったのだ。最終節では、今夏の引抜きが噂されるマンチェスター・ユナイテッドを相手に(1-1)、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍で飛躍のシーズンを締め括ってみせた。
4バックの控えはマルティン・デミチェリス。マンC1年目は機動力不足が指摘され続けたシーズンだった。イングランド人DFジョレオン・レスコットがベンチにいたこともあり、国内メディアには目の敵にされ、33歳の獲得は「補強ミス」とも言われた。
ところが、肝心の終盤戦では、コンパニのパートナーとして及第点以上の出来を連発。優勝実現の戦力と化してメディアを見返した。対照的に、新CBにして即座にプレミアのスピードに適応したデヤン・ロブレンは、今季のベスト新加入選手。サウサンプトンが9カ月間をほぼトップ10圏内で終える安定感の源となった。