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福西崇史の「予想」を超えた2人。
大久保と青山、ポジティブな驚き。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byNaoki Nakanishi/JMPA
posted2014/05/13 11:30
2010年南アフリカW杯、カメルーン戦に臨む大久保。ザッケローニ監督になってからの代表招集では、2012年2月のキリンチャレンジカップにおけるアイスランド戦(3-1で勝利)以来となる。
長谷部の回復が与えた影響。
――2列目の【突破型】には、福西さんの予想どおり齋藤学が入りました。「ボランチ4人バージョン」であれば、この選択はすごく順当ですよね。
「うん。もし『ボランチ5人バージョン』なら、どうしても齋藤か大久保を外さなければならなかった。でも『ボランチ4人バージョン』ならどちらも入れられるし、【突破型】の選手の中で最もいいパフォーマンスを示していたのが齋藤ということだよね」
――なるほど。そう考えると、逆に、GKの3人とDFの8人はほぼ確定していて、長谷部のコンディション次第で、2つ、または3つの枠を入れ替えるという考え方だったということですよね。
「そうだね。長谷部の回復が早かったことは、ザッケローニにとっても、それからチームのバランスを考える上でもすごくポジティブなことだったと思う。もし回復が遅れていたら、日本は一つ武器を失っていたかもしれない」
――はい。そして結果的にはすごくバランスのいいチームになったことを感じるからこそ、「大切なのはここから」という気がしてきます。
ここからが難しい、ワールドカップ。
「本当にそうだよ。今はまだチームが作られた段階に過ぎないからね。ファンの皆さんの間では、誰が入ったか、誰が外れてしまったかという話題で盛り上がると思うけど、ひとまず今日でその感情を落ち着けてもらって(笑)、今度はチーム全体を応援してもらいたい」
――そうですね。やっぱり大切なのは個人というよりチームですから、大久保が入ったのも決して現在の好調ぶりだけを考慮した“流行り”ではないし、逆に、伊野波が選ばれたことも過去4年間で築き上げた“信頼感”だけじゃないというか。
「そうだね、分かるよ(笑)。そういう部分も含めて、ザッケローニはうまくチームを作ったと思う。4年間かけてスタイルを構築してきた。それを理解している選手たちがたくさんいる。そこに刺激を加えられる、新しい選手もいる。あとは、自分たちのスタイルを貫いて戦うだけ。指揮官としてのその気持ちを、23人のメンバー構成によってうまく示したんじゃないかな」
――メンバー発表だけで、ここまで期待感が上がるとは思いませんでした。
「いやいや、だから、大切なのはこれからだって(笑)。ここからが難しいのがW杯なんだから」