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岡崎&前田の好連係と守備の不安。
快勝の先に待つ“鬼門”の準々決勝。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/01/18 12:25

岡崎&前田の好連係と守備の不安。快勝の先に待つ“鬼門”の準々決勝。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

活かし、活かされる岡崎と前田から生まれた全5ゴール。

「前田さんがよく(相手を)引き出してくれるので、裏を狙いやすかった。それに自分が裏に抜けることで前田さんのスペースをつくることもできますから」

 岡崎を活かしたのが前田であり、そして前田を活かしたのが岡崎であった。

 ここ2試合、2列目には松井、本田圭佑、香川が入った。いずれもボールを足元で受けたいタイプであり、1トップの前田にスペースがなかなか生まれなかった。第2戦のシリア戦では2列目の流動的な動きでずいぶん改善されてはいたが、スペースをつくり出すことに長けた岡崎が入ることで第3戦ではさらに前田が働きやすくなったという印象を受ける。

 サイド裏にボールが出て、空いたスペースに飛び込みクロスに合わせる。このパターンで前田は今試合2ゴールを挙げた。前田の2点目は中に絞った岡崎が右サイドバックの伊野波雅彦にパスを出してゴールを導いたもので、また逆に岡崎の3点目は、中盤に下がる前田の動きを見て中に入り、前田のパスから前を向いて左足で奪ったものだ。

 岡崎が「前田さんとはタイプ的に合う」と言えば、前田も「あの(岡崎の)動き出しで、自分もスムーズに(スペースに)入れた」とやりやすさを口にする。活かし、活かされるという相互関係と、遠藤保仁の冴え渡ったパスワークを含めた周囲との好連係によって2人の全5ゴールは生まれたのだった。

サウジの守備の甘さもあった!? 今回のゴールラッシュ。

 ただ、サウジの守備に集中力がなかったことがゴールラッシュの一因であることも忘れてはならない。

 岡崎自身も「どこまでの手ごたえなのか、分かりかねる部分もある。速い攻撃でいかに攻めきるかというのはまだ課題」と額面どおりには受け止めていない。

 相手陣内に残り3分の1にまで攻め入ってからのスピードアップや、ケガでチームを去ることになった松井が見せていたような、仕掛けの部分も今後の戦いで求められることを岡崎自身、理解している。

 準々決勝の相手はA組を2位で抜けた開催国カタールに決まった。

 日本は2004年の中国大会、前回2007年の4カ国共催大会のいずれも準々決勝はPK戦までもつれこんでおり、過去の例から見ても厳しい試合になることは間違いない。

 攻撃面では岡崎が指摘したような改善点はあるものの、無失点で切り抜けた守備面のほうに不安が広がっている。簡単に裏を取られてしまう場面が何度かあり、これではカタールのカウンターの餌食となってしまう。無失点を喜んでいられる状況ではない。

【次ページ】 控え組のテストと本田圭佑の温存は大きな収穫だった。

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