サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
カタールは前半で勝負を決めにくる!!
勝利に必要なのは、香川真司の覚醒。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/01/21 10:30
「彼は決勝トーナメントで貴重なゴールを決めてくれると信じている」と語ったザッケローニ監督の期待に香川は応えられるか?
練習開始から20分が過ぎると、メディアオフィサーが公開時間の終わりを告げた。
ここからの1時間強は、ザックことアルベルト・ザッケローニ監督と選手たちのためだけに用意されたものだ。
試合翌日の練習はすべて公開され、二日目は冒頭のみの公開となり、三日目は試合会場で公式練習を行うのが、大会開幕後の日本代表のルーティーンとなっている。決勝トーナメントへ突入しても、試合間隔は変わらない。“ドーハの悲劇”の舞台となったアル・アリスタジアムの練習が非公開となるのは、試合を2日後に控えていることを意味する。ドーハはこのところ雨模様で、1月19日の午後も鈍色の空に覆われていた。
コンディションに極端なバラつきがあった日本代表。
グループリーグを首位で通過するのは、'92年大会から6大会連続となる。
“アジアの巨人”との評価を受けるようになった立場を考えれば驚きではないが、思いがけないスリルも味わった。
出場各国が事前にテストマッチを消化していたなかで、日本は国内合宿のみで今大会を迎えている。すべての選手が揃ったのは現地ドーハ入りしてからで、選手個々のコンディションもバラバラだった。所属クラブの日程で1カ月前後も試合から遠ざかっている海外組がいて、2010年のシーズンを終えたばかりの国内組がいた。開幕当初のチームは、試合勘が鈍っている選手と疲労を抱える選手の集合体だったのである。
プレースピードへの不満をザックが表した開幕戦の苦しみは、なかば必然だったと言っていい。チーム全体の運動量が少なく、足元から足元へのパスが多ければ、球際を狙われるのも避けられない。
しかしながら、吉田麻也の同点ヘッドで敗戦を回避したヨルダン戦が、覚醒効果を果たしたのも確かだった。
「ヨルダンの気迫を感じたし、もっと戦っていかないと。球際で激しくいくとか、取られたらすぐ戻るとか、そういう基本的なところ、戦う気持ちを出していかなきゃいけない」と長谷部誠は語り、「一人ひとりが危機感を持ったと思う。アジアカップで勝ちあがるのは簡単じゃないことが、初戦を戦ってみて改めて分かった」と長友佑都も話している。