Number ExBACK NUMBER
クラッシュ・ギャルズの伝説再び!
あの傑作ノンフィクションが文庫化。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2014/03/28 10:30
『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(文春文庫) プロレスを知らない人にも是非読んでいただきたい、傑作ノンフィクションである。
「馬場さんは神様のような人だ」という言葉の重み。
質問者 「『いいレスラー』の定義について教えて下さい。
長与さんにしても、馬場さんにしても、受け身をきちんと取れるレスラーです。一方で、鈴木みのるさんが『ずっと受け続けるレスラーは強くない』という発言もされています。柳澤さんは、どうお考えですか?」
柳澤 「極端な例を考えてみればいいと思います。受け身を特化していったのは三沢さんや小橋さんの『四天王プロレス』ですよね。彼らのその後をみてみれば、鈴木さんのいうことはよくわかる。三沢さんは受けて受けて受けまくった。『こんなことが格闘技にできるか? プロレスにしかできないだろう!』という覚悟を感じます。でも、どんどん危ない方向に行った結果、自分の命までもが失われてしまった。
たとえばダイナマイト・キッドというレスラーがいました。筋肉モリモリにするために恐ろしい量のステロイドを注射した。観客を興奮させるために、観客の反応を得るために自分の体を犠牲にするのは、受け身もステロイドも等価です。
ダイナマイト・キッドも三沢さんも、人の心に残るレスラーです。鈴木みのるさんは別のところで、人の心に残るレスラーになろうとしているのだと思います。結局はレスラー自身が決めるしかないんです」
清野 「それでは、最後の質問をお願いいたします」
質問者 「馬場さんの凄さについて、裏話があれば教えてください」
柳澤 「今、週刊誌(週刊大衆『1964年のジャイアント馬場』)で連載してる途中で、いずれ年内か年明けに単行本になると思います。やっぱり、愛があるから付き合うというより、付き合っているうちに愛が芽生えてくるという感じなんですよ。馬場さんについては この前亡くなった仲田龍さんという方がいます。長く馬場さんの付き人を務めた方ですけど、彼を取材した時に『馬場さんは神様のような人だ』と言っていました。『従者の目に英雄なし』という言葉がありますが、英雄・馬場の一番近くにいたにもかかわらず、仲田さんは『馬場さんは神様だ』というんですね。その言葉は重いと思います」
清野 「なるほど。柳澤さん、本当に今日はありがとうございました。『1985年のクラッシュ・ギャルズ』と同様に、『1964年のジャイアント馬場』の出版も楽しみにしたいと思います」