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J3開幕が変える「街クラブ」の形。
Y.S.C.C.、横浜第3のJチームとして。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO SPORT
posted2014/03/11 10:30
Jクラブとしての歩みを始めたばかりの横浜スポーツ&カルチャークラブ。J3として初の公式戦であることへの誇りか、選手たちの晴れ晴れとした表情が印象的だ。
J3ライセンスの基準が、目標を形にした。
運営担当の野村卓也さんが、その表現を噛み砕いて説明する。
「(練習場などを含めて)J3ライセンスにはハッキリとした基準があり、準備の部分でクラブを挙げてやっていかないといけないんです。それは現在進行形のことも多くあり、整っていない部分ももちろんありますが(苦笑)。
その中で、Jという冠がつきましたけど“街クラブ”という所は変わらないんです。元々が『Jリーグに参入するんだ』というところから立ち上げたものではなく、『地域に根差したクラブ』というのはブレないところなので。(J3に所属することで)自分たちの足元を固めて、少しずつ裾野を広げて積み重ねていきたいと思います」
Y.S.C.C.を「Jクラブ」として見るならば、確かに現状では体制が整いきっているとは言い難い。トップチーム所属選手の中でプロ契約をしているのは小澤、吉田、西山峻太、服部大樹、の4人だけ。前述した松田ら多くの選手は仕事をしながらの生活である。そして選手だけでなくコーチやチームスタッフも、ユースや中学生チームの指導を兼任しているそうだ。
アマチュア選手でも、Jリーガーとしての意識づけを。
その環境下でも、Jリーグに所属したことで「プロクラブ」として周囲の目は変わっていく。
横浜Y.S.C.C.第1期生で、今シーズンから監督に就任した有馬賢二はプロの厳しさを知っている数少ない存在である。有馬は現役時代、柏や札幌に所属した経験があり、'00年にはJFLに所属していた横浜FCで得点王を獲得し、チームのJ2昇格に大きく貢献した。そんな指揮官は力説する。
「(プロチームとしての)意識づけは選手たちにさせています。このクラブにはアマチュア選手も多いのですが、プロリーグの舞台に立つということは、与える影響力も大きくなるんです。こうして手厚いサポートを受けられると同時に、グラウンドに立てば、Jリーガーとして見られるわけです。まずはチームの理念である立ち居振る舞いを意識しなければいけません」