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J3開幕が変える「街クラブ」の形。
Y.S.C.C.、横浜第3のJチームとして。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO SPORT
posted2014/03/11 10:30
Jクラブとしての歩みを始めたばかりの横浜スポーツ&カルチャークラブ。J3として初の公式戦であることへの誇りか、選手たちの晴れ晴れとした表情が印象的だ。
3月9日、J1、J2に続くJリーグの新たなカテゴリー「明治安田生命 J3リーグ」が開幕した。
全国の11クラブ、そしてJ1、J2に所属する若手選手の試合機会を増やすために設立された「Jリーグ アンダー22選抜」を加えた12チームが全33節を戦う。
これまでの「JFL→Jリーグ」という昇格方式とは異なり、J3リーグに参入してから上位カテゴリを目指すクラブが多い中、少々異なるアプローチでこの舞台に挑むチームがある。
「Y.S.C.C.横浜」。
正式名称、横浜スポーツ&カルチャークラブは横浜市中区、本牧地区を中心に活動している。“横浜のJクラブ”としてはJ1の横浜F・マリノス、J2の横浜FCに続く3チーム目のJクラブとなるが、開幕前にY.S.C.C.が発行したパンフレットにはこのような一文がある。
「真の『総合型地域スポーツクラブ』を目指すために、サッカー以外のスポーツにも活動を広げ、現在では総会員数が約900人となりました」
総合型地域スポーツクラブ。これがY.S.C.Cというチームのアイデンティティとなっている。
25年かけて徐々にカテゴリーをあげてきた「街クラブ」。
このY.S.C.C.、もともとはメキシコ五輪後に生まれたスポーツ少年団がルーツとなっている。そこから全日空が資本参加し「横浜トライスターサッカークラブ」、「全日空横浜サッカークラブ」と改称される中で、“地域により密着したクラブを”というOBたちの声で1986年に設立された。いわゆる「街クラブ」と称されるチームの1つである。
中学生チームを中心にスタートしたY.S.C.C.は、ほどなくトップチームを設立する。'05年に関東社会人リーグ1部、そして'12年にはJFL昇格を果たし、設立から四半世紀をかけて地道にカテゴリーを上げてきた。
それと同時に、このクラブは従来のジュニアクラス(スクール、U-12、U-15、U-18の4部門)だけでなく、女子チームY.S.C.C.コスモスやフットサル、そしてバドミントンやテニス、バスケットボールといった他競技のスポーツでも活動している。パンフレットに記載されている通り、ヨーロッパ的なスポーツクラブを標榜しているのだ。