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J3開幕が変える「街クラブ」の形。
Y.S.C.C.、横浜第3のJチームとして。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO SPORT
posted2014/03/11 10:30
Jクラブとしての歩みを始めたばかりの横浜スポーツ&カルチャークラブ。J3として初の公式戦であることへの誇りか、選手たちの晴れ晴れとした表情が印象的だ。
歓談する外国人女性たちの隣での不思議な練習。
ただトップチームに関しては、恵まれた環境とは言えなかった。
主将を務めるMF吉田明生はこう話す。
「ぜんぜん違いますね。昨年とは。これまではまず仕事を終えてから夜に練習、という環境でしたから。午前中にサッカーボールを蹴られるという環境だけでも幸せです」
今シーズンからトップチームは地域の協力を得て、市内の山手地区にある「YC&AC(横浜カントリーアンドアスレチッククラブ)」を練習場として使用している。YC&ACは外国人文化団体のグラウンドのため、練習を取材した日は人工芝グラウンド横のカフェで外国人女性たちがアルコール片手に歓談していた。正直に言ってしまうと、筆者は「少し不思議な空間だな」と内心で思っていた。
「Jリーグが目の前に降りてきてくれた」
しかし、昨年までの練習場所と比べれば、彼らにとっては非常に恵まれた環境なのである。
2人の副将も、苦笑いを浮かべながら懐古する。
「加入1年目なんかはほとんど中学校のグラウンドでした。野球のマウンドがあるところもありましたから」(FW松田康佑)
「19時から21時半まで練習で、遠い人はそれから2時間半かけて帰る。23時半にご飯を食べて寝て、翌朝早くから仕事して、また練習……。そんなサイクルでやっていたメンバーもいます」(MF小澤光)
ありきたりな“苦労話”といってしまえばそれまでだし、他クラブにもこのような話は多かれ少なかれあるだろう。ただ、もし「J3リーグ」という構想自体が立ち上がっていなければ、練習場の確保などの面で、Y.S.C.C.の状況はここまで劇的に変わらなかったかもしれない。
チームスタッフが異口同音に発した言葉があった。
「Jリーグが目の前に降りてきてくれた、という感覚です」