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松山英樹はマッチプレーが苦手?
「リスクと報酬」で考えるその魅力。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2014/02/20 10:40

松山英樹はマッチプレーが苦手?「リスクと報酬」で考えるその魅力。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

2008年のWGCアクセンチュアマッチプレー選手権を盛り上げたタイガー・ウッズは、今季の大会は不参加を表明した。

 歯切れがどうも良くない。

 松山英樹が唯一の日本勢として出場する今年のWGCアクセンチュアマッチプレー選手権。世界ランキングの上位64人だけが参戦できるビッグイベントだが、開幕前の彼からは、なかなか威勢のいい言葉を聞けなかった。

「(マッチプレーは)得意でしょ? ってよく言われるんですけど……勝った試しがない」

 72ホールを戦うストロークプレーで、普段から勝負所をおさえたスコアメークに長けた松山ならば、眼光鋭く1ホールごとにポイントを奪い合うマッチプレーは、その力がより発揮されそうなものだ。

 しかし確かに、これまで日本アマチュア選手権の過去4大会でマッチプレーを戦い、初戦敗退が1度と、あとはすべて2回戦止まり(同大会は138人が出場し、36ホールのストロークプレーでの上位32人がマッチプレーに進出)。世界選抜の一員として臨んだ昨秋のプレジデンツ杯ではシングルマッチでハンター・メイハンに敗れた。

「戦い方を変えた方がいいのか分からない。(マッチプレーのために)変えて、ストロークに戻った時に影響が出ると嫌なんで、あまり変えずにいこうと思う」。日本の怪物は普段とは違うゲームへの対応に、不慣れな様子を見せたのだ。

“興行”として成立しづらい、展開の読みにくさ。

 しかしマッチプレーにおいて特有の難しさを感じているのは、松山のようなプレーヤー側だけではない。大会を運営する側にとっても、ストロークの試合とは異なる苦悩が付きまとうのである。

 日本では男子メジャーのひとつとして、1975年から日本プロマッチプレー選手権が開催されていた。しかし大会は2003年を最後に消滅。スポンサー離れが要因だった。

「マッチプレーは試合自体はスリリングで面白い。でも“興行”として成り立たせようとすると難しい面がある」と話すのは、かつて大会運営に携わった日本プロゴルフ協会の上村恵介氏。問題は試合展開が読みにくく、確実な盛り上がりが保証されないことにあった。

【次ページ】 必ずしもスター選手が勝ちあがれるとは限らない。

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