ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
松山英樹はマッチプレーが苦手?
「リスクと報酬」で考えるその魅力。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/02/20 10:40
2008年のWGCアクセンチュアマッチプレー選手権を盛り上げたタイガー・ウッズは、今季の大会は不参加を表明した。
窮状の日本男子、リスクを冒すのは今?
前述の上村氏の記憶にあるのが、ずいぶん昔にあった、先輩と後輩にあたるふたりのプロゴルファーの対決。「マッチプレーにはタイムパー(1ホールをプレーする目安の時間)が無く、時間の使い方がまた駆け引きになる。風を読んで、クラブを替えて、わざとゆっくりとプレーした後輩に、先輩ゴルファーがカッカしてうまくプレーできない試合があった」
対戦相手のショットの出方によってクラブを選択したり、グリーンで相手にラインを見せないようにするため、先にパットをする選手がわざとカップまでボールを届かせないよう打ったりする作戦もある。駆け引きや心理戦が、ストローク戦よりも多く見受けられる。
メディアとしても対戦選手たちの関係性を掘り下げれば、“ジャンボ・キラー”のように、後々プロのキャラクターを打ち出していくチャンスにもなる。学生時代の先輩、後輩、同級生同士の対決といった話題は、それぞれのバックボーンの紹介にもなるだろう。地上波の視聴率が低迷する昨今だが、比較的、放送時間に柔軟性があるBSやCS放送、インターネット中継は、マッチプレーの魅力をより引き出せるかもしれないのだ。
「リスクと報酬」。スリリングなゴルフコースを表現する褒め言葉だが、マッチプレーの興行は、その差があまりに大きいのが問題。しかし考えようによっては、窮状続く日本男子ツアーなどにおいては、リスクを冒すには、今は悪くないタイミングだとも思う。