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J2で格の違いを見せたガンバの今。
“最強の武器”はJ1でも通用するのか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2014/02/19 10:55
監督から今季は最低でも15得点と厳命されている宇佐美。「調子そのものは悪くないのだけど……」と語るが、J1での覚醒が待たれる。
かつての爆発的な攻撃力は鳴りを潜めた。
J2では屈指の攻撃力を誇ったが、J1モードで考えるとやや迫力不足は否めない。FWは、昨年J2で18試合19得点を奪った宇佐美貴史だが、これまで実戦4試合でノーゴールとエンジンがかからない。昨年、FWとして目覚めた感はあるが、本来はサイドアタッカーである。
FW起用の遠藤保仁は、もちろん本職ではなく、フリーマンという位置付けだ。2列目の倉田秋と大森晃太郎は、タイプは異なるがアタッカータイプの選手。つまり、専門職のFWがいないのである。
もともと、ガンバは前線に点が取れる外国人選手を置き、相手よりも多くスコアを上げて勝ち切るチームスタイルだった。2005年にリーグ優勝した時は、アラウージョや大黒将志らの活躍で34試合で82得点を挙げた。2006年のマグノ・アウベスも得点王になるなど、外国人選手は強烈な個性とともに結果も出していた。
チームとしても得点にこだわりを持ち、J2におちた2012年でさえ、得点はリーグ最多の67得点(失点65)、昨年のJ2では42試合で99得点を奪った。ガンバのチーム作りには外国人FWの存在と得点力が大きなポイントになるのだが、甲府戦(1試合目)ではゴールを奪えず、チャンスもほとんど作ることができなかった。期待された新外国人選手FWのリンスは合流して間もないというエクスキューズはあるが、ゴール前の恐さが感じられなかった。
守備陣はJ1レベルのFWに対応できるか?
守備も後半32分、サイドからのクロスを盛田剛平にセンターバックの間に入られ、ドンピシャでヘディングを合わされた。ペナルティボックス内の守備の人数は十分に足りていたのにもかかわらずやられてしまった。最終ラインで高さがあるのは岩下のみ。J1のFWは非常に質が高いので、サイドからの揺さ振りとクロスの対応には、かなり苦労しそうだ。そのために獲得した新外国人のエブソンは、別調整で完全に出遅れている。U-21日本代表の西野貴治を起用するのか、センターバックを含む最終ラインの組合せは長谷川監督も悩むところだろう。