オリンピックへの道BACK NUMBER
技術勝負なら日本は、葛西は強い!
ルール変更が生んだ“平等”な戦場。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2014/02/17 11:05
メダルセレモニーで、銀メダルを手に笑顔を見せた葛西紀明。金メダルをとりたい、と次回への意欲を早くも見せた。
用具の変更が一段落して、技術の勝負になった。
そして昨シーズン、再び変化が訪れた。体のサイズから+2cmと、密着したスーツであることが求められるようになったのである。今シーズン前にも細かな改正はあったが、この+2cmが、ソチ五輪前の最後の大きな変化となった。
そして今シーズンは、各国ともにほぼ工夫の余地のない状況で迎えることになった。イコールコンディションとなったのである。
シーズン開幕前には、日本代表の横川朝治ヘッドコーチもこうコメントしている。
ADVERTISEMENT
「いろいろなズルができなくなって各国とも横並びになっている」
つまり、開発競争が結果に影響することはなくなったのである。
すると問われることになったのは、選手そのものの持つ技術であった。
シーズンが開幕すると、日本の選手たちが活躍を見せた。昨年12月のワールドカップ第3戦では竹内択が2位となり、第4戦では伊東大貴が3位。葛西は、優勝をはじめ、ワールドカップ総合3位でソチを迎える好成績をあげてきた。
「用具の部分の変更が一段落したことで、日本の選手の本来の技術の高さがいかされるようになったんですね」
原田氏は言った。
ラージヒル同様に飛べれば、団体の金が見えてくる。
日本の選手は技術はある。そしてそれがシンプルに問われる今だからこそ、メダルに手が届く。それが原田氏の見立てであった。
言い換えれば、選手たちが絶え間なく技術を磨いてきたこと、高めてきたことをも意味する。
葛西が銀メダルを獲得し、膝の故障に苦しみつつも伊東が9位、清水礼留飛が10位、竹内が13位と4人全員が上位につけた15日のラージヒルは、その成果であった。
17日には団体戦を迎える。
ラージヒルと同様に4人の選手が飛ぶことができれば、悲願とする16年ぶりの世界一は見えてくる。